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「地方の時代」映像祭で優秀賞に輝いた「母が語る」の一場面。(右から)千珠さん、優さん、父親の敏浩さん=2015年1月17日(里見繁教授提供)
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「地方の時代」映像祭で優秀賞に輝いた「母が語る」の一場面。(右から)千珠さん、優さん、父親の敏浩さん=2015年1月17日(里見繁教授提供)

 阪神・淡路大震災で双子の兄を亡くした兵庫県西宮市の女性会社員高井優(ゆう)さん(23)らが関西大学社会学部(大阪府吹田市)在学中に制作した映像作品が昨年11月、同大であった「地方の時代」映像祭の「市民・学生・自治体部門」で1位に相当する優秀賞に輝いた。震災で息子を奪われた母と家族の20年にわたる悲しみや葛藤を娘の視点から描いた。「大人になった優から、お母さんへの心を込めた贈り物」となっている。(小西博美)

 映像祭は地方から発信しようと1980年に始まり、テレビ局や市民、学生などが出品する。

 優さんは1歳半だった当時、住んでいた山口県から西宮市に帰省中に双子の兄将(しょう)君=当時(1)=を亡くした。母の千珠(ちづ)さん(55)は「半年は息子のことしか考えられなかった」というほど落ち込んだが、幼い優さんは覚えておらず、父母に尋ねることもなかった。

 大学3年の時、「家族の歴史を映像に残したい」と初めて震災に向き合うことに。友人で同じ学部の春藤(しゅんとう)未希子さん(23)=大阪市=と映像実習で取り組み完成させた。その後、これを基に約20回に及ぶ取材を重ね、同4年で卒業制作として仕上げた。

 作品は「母が語る-阪神淡路大震災から20年」(39分)。公園や部屋で仲良く遊ぶ双子のビデオで震災前の幸せな家族を振り返り、一転、息子を失った苦しみにもがきながら生きる姿を母のインタビューを通して描く。

 息子が亡くなった後も2人分そろえた手作りの給食袋やスモック。どこへ行くのにも持ち歩いた遺影。今も手元に置く骨つぼに母の嘆きをにじませた。

 一方、悲しみのどん底でも「死を選ばなかったのは、娘がいるから」という思いも。将君の映像を見て「動いている姿を見て存在を実感した。ずっと一緒にいたかった」とした優さんの率直な気持ちも収録している。

 千珠さんは「作品がどんなものでも、娘が初めて震災と向き合い、母の気持ちを考えて作ってくれた」。指導した里見繁教授(65)は「20年たっても乗り越えられない悲しみを、母の言葉を通じてよく伝えている」と評価している。

2017/1/18

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