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祖父母の「震災」銘板に20歳報告 篠山の男性

2017/01/09 11:27

 阪神・淡路大震災で祖母を亡くし、翌年に生まれた兵庫県篠山市今田町の小我野(こがの)良介さん(20)が8日、同市の成人式に臨んだ。祖母や震災後に他界した祖父の姿は覚えていないが、神戸市を訪れる際は2人の銘板がある「慰霊と復興のモニュメント」(同市中央区)に足が向く。先月も訪れ、こう伝えた。「おじいちゃん、おばあちゃん。二十歳になりました」(岩崎昂志)

 母方の祖父母が住んでいた神戸市灘区灘北通の住宅は震災で崩れ、祖母阿部ヒデカさん=当時(59)=が圧死。祖父忠昭さんは家具の隙間に挟まれて助かったが、震災後に1人で身を寄せた山口県で体調を崩し、4年後の秋に70歳で逝った。

 良介さんに2人の記憶はない。物心がついてから母さゆりさん(53)と何度も銘板のある神戸・東遊園地を訪ね、父靜朗さん(52)が使うかばんが忠昭さんの遺品だと知った。次第に、家族の中で息づく祖父母の存在を感じた。

 いつも明るかったヒデカさん、おしゃれ好きの忠昭さん。そんな人柄を両親から聞いた。買い物や神戸ルミナリエで神戸に行けば銘板に触れた。

 良介さんは高校卒業後、地元の郵便局で働く。震災から間もなく22年。良介さんは「祖父母の存在があるから、地震の怖さを身近に感じる。忘れたくない」と話す。

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