わかる!ナットク
衆院議員の選挙制度をめぐり、衆院選挙区画定審議会(区割り審)は今月中旬、小選挙区定数を「0増6減」し、「1票の格差」を是正する区割り改定案を安倍晋三首相に勧告しました。そもそも1票の格差って? 中学生の娘の疑問に新聞記者の父が答えました。
-小選挙区って何?
「一つの選挙区から1人の衆院議員を選ぶ現在の制度のことなんだ。兵庫県は12の小選挙区に分かれているんだ」
-なんで格差が出るの?
「議員1人を選ぶ有権者数が選挙区によって違うからなんだ。学校に置き換えてみよう。A、B、C組で修学旅行の行き先を決める。Aは10人、Bは15人、Cは30人。全員だと大変なので各クラスで意見をまとめ、学級委員長3人で話し合った」
「AとBは東京、Cは沖縄が希望。多数決で東京に決まったが、Cの生徒は納得がいかない。だって生徒はAとBを合わせた数より、Cの方が多いから。これが1票の格差なんだ」
-生徒の数が有権者数ね。有権者が多いのは都会?
「人口の多い都市部ほど1票の価値は軽くなりやすい。この格差に対して裁判でも、何度も『違憲』『違憲状態』という判決が出されてきたんだ」
-違憲? 違憲状態?
「『法の下の平等』を定めた憲法に違反するのが違憲。違憲状態は『不平等だが、国会が格差を直す時間が足りなかった』という判決だよ。最近では2014年12月の衆院選を最高裁が違憲状態と判断した。議員1人当たりの有権者が、最少の宮城5区は約23万人、最多の東京1区は約49万人。格差は2・13倍。兵庫6区(伊丹、宝塚、川西市)も2倍を超えたんだ」
-今回で格差は直るの?
「エリア変更のほか、小選挙区の議員定数を全国で6減らす(0増6減)と、20年までは格差が2倍を下回る見通しだ」
-なぜ2倍が基準なの?
「2倍を超えると最も有権者が少ない選挙区は1人2票あることになり、1人1票という選挙の原則が崩れてしまうんだ」
-兵庫は変わるの?
「7区の西宮市の北部が2区(神戸市兵庫、長田、北区)に。6区の川西市の一部も5区(但馬、丹波、三田市など)になる。同じ市で選挙区が分断されることに反発も大きい」
-人口格差はこれからも広がるんでしょ?
「人口と自治体だけを基準にすると都市部の議員が増え、山間部など地方は減る一方。国民主権に関わる問題でもあり、政治家任せじゃなくて、僕ら国民も注目し、考えることが大事なんだよ」 (黒田勝俊)
2017/4/29