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 東京都の小池百合子知事が就任し、1年がたちました。7月の都議会議員選挙では代表を務めていた「都民ファーストの会」が圧勝しましたが、投票日翌日に「二元代表制への懸念」を理由に代表を辞任しました。どのような懸念があるのでしょうか。(若林幹夫)

 -二元代表制の「二元」って何?

 「都道府県や市区町村といった自治体の行政機関を取りまとめ、事務を決めるのが知事や市長などの首長。もう一つは、住民に代わって地域の問題を話し合って決める議会がある。議会を構成するのは議員で、両方とも住民による選挙で直接、選ばれるんだ」

 -役割分担はどうなっているの?

 「例えば自治体のお金の使い道を決める予算なら、知事や市長が議会に案を示し、議会を構成する議員が住民に代わって話し合う。最終的な決定権は議会にあって、知事や市長に対してチェックする役割を果たさないといけない。行政と、議会は車の両輪に例えられるよ」

 -国の仕組みとは違うの?

 「国は議院内閣制といって、議員は同じように選挙で当選した人たちだけど、総理大臣は議員の中から選ばれる。最も議員が多い政党から総理大臣(首相)が出て政権をつくることになる。総理大臣が所属する政党や支持する政党は『与党』、そうでない政党は『野党』。国会では、政府・与党対野党という構図になる。県や市などの地方自治体は、基本的に首長と議会の関係は対等で、両者の意見が対立すると、議会は首長に対する不信任案を決議できる。不信任が決議された首長は議会を解散するか、自らの失職かを迫られる」

 -小池知事は何を懸念したの?

 「7月の都議選では定数127に対し、小池知事が代表だった『都民ファーストの会』が追加公認を含めて55議席を獲得し、最も多い議席を占める『第1党』になったんだ。つまり議会には、小池知事の応援を受けて当選した議員ばかり。公認や推薦の権限を持つ党の代表が知事のままだと、議員は知事が決めたことに反対しなくなり、議会のチェック機能が働かなくなる恐れがあるんじゃないか-。そんな批判を警戒したようだね」

 -兵庫県内の自治体で、議会が反対したことはあるの?

 「市長ら首長が提案した予算案が可決されなかったことはあるよ。西宮市では2016年9月にふるさと納税関連の条例制定案が否決され、三木市でも17年3月に交流施設の整備事業費を盛り込んでいた16年度一般会計補正予算案が否決(再議で可決)されたよ。7月に井戸敏三知事が5期目の当選をした兵庫県や、10月に市長選が予定されている神戸市の議会で予算案が否決されることはまず見られないね」

 -井戸知事や神戸の久元喜造市長は、政党のトップじゃないのに、どうして?

 「議員は住民の代表だから、本来、与党・野党はないんだけど、両議会とも自民、公明、民進系の会派が与党を構成しているんだ。議会の定数の半分以上を占める状態が続いていて、重要な議案や新しい政策は、事前に各部署の幹部が与党会派に説明し、ある程度意見をすり合わせてから議会にかけるからだよ」

 -だから否決されないんだ。

 「二元代表制の特徴は、首長と議会が対等なこと。行政と議会が常に全面対決し、予算や条例案が何も成立しないのも困るけど、両者が、べったりすり寄ると、政策のバランスを失う恐れがある。事前のすり合わせは、議事録もなく、住民にはどんな話し合いがあったのか分からない。生活に関わる大事なことを“密室”で決めると、公開の場で議論するという議会の最も大切な機能を低下させることになるんだ」

 「議院内閣制でも、同じ事が言える。総理大臣の権限が強くなり、1強状態になると、野党の批判を無視しても法案などは成立できる。総理大臣は党のトップも務めているから、やっぱり選挙で誰に公認や推薦を出すかを決めることができる。ただ、党代表や総理大臣は、通常の選挙ではなく、党員や国会議員で決めることができ、権限が集中しない仕組みになっている。多様な意見を聞き、政策に反映するには、適度な緊張関係が必要なんだ」

2017/8/19

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