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人形を操る吉田和生さん=2016年4月、大阪市中央区(国立文楽劇場提供)
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人形を操る吉田和生さん=2016年4月、大阪市中央区(国立文楽劇場提供)
神戸新聞NEXT
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 国の文化審議会が、人形浄瑠璃文楽の人形遣い吉田和生(かずお)さん(70)=本名荻野恒利、兵庫県芦屋市=らを重要無形文化財保持者(人間国宝)に認定するよう文部科学大臣に答申した。9月にも正式決定となる。兵庫県内では、故人を含め7人目。人間国宝に認定されるって、どれくらいすごいことなんだろう。(井上 駿)

 -どんな人が認定されるの?

 「国は、伝統的な芸能や工芸技術を重要無形文化財に指定し、保護している。その『技術』を高度に体得している人を保持者とし認定。人ではなく、その人が持つ技術を認定するんだ」

 -正式には重要無形文化財保持者。なぜ人間国宝と呼ぶの。

 「所管する文化庁も、はっきりとは分からない。指定1回目の1955年当時からマスコミが使い定着したようだね。『人間国宝』の方がイメージがつきやすいことも影響したのかな」

 -ほかの賞との違いは?

 「文化や芸術に多大な功績を残した人を国が表彰する制度としては、文化勲章や文化功労者がある。人間国宝は無形文化財を保持している人のことを指し、制度の目的はその芸能や工芸技術の高度な技術を保護し、残していくこと。文化勲章や文化功労者は、どちらかというと、個人をたたえる表彰かな」

 -何人いるのかな。

 「能楽や文楽、歌舞伎、古典落語、陶芸などの分野で、今回の答申を含めると、全国に115人。歌舞伎立役の坂田藤十郎さんや女形の坂東玉三郎さん、古典落語の柳家小三治さんが知られているね。故人を含めると計360人になるんだけど、本人が亡くなると、認定が解除される」

 -どうやって決めるの?

 「年1回、文部科学大臣の諮問機関『文化審議会』の専門調査会で、有識者約30人による調査検討を経て決まる。各種団体からの申請や推薦は受け付けず、国が調査している。技術を究めているだけでなく、指導や普及に熱心かなども検討材料になる」

 -選ばれると、何か支援されるの?

 「人間国宝1人につき、技術の保存や継承のため、国から年200万円を助成される。所属する団体にも、別に助成金がある。ただ、経済的な面よりも栄誉が大きい」

 「権威があるからこそ、断った人もいるんだよ。大正・昭和期に美食家として名をはせた芸術家北大路魯山人(きたおおじろさんじん)さんは、陶芸の分野での認定をかたくなに辞退した話が伝わっているね」

 -人間国宝は兵庫県に何人いるのかな。

 「亡くなった4人を含め7人。1人目は1964年に認定された狂言の善竹弥五郎さん。狂言界では初めてだった。淡路人形浄瑠璃の伝承・普及に尽力した鶴澤友路さんや、戦後消滅寸前だった上方落語の復興に尽くした落語家桂米朝さんも有名だね。人形浄瑠璃文楽の人形は吉田さんを含め3人になる」

 -吉田和生さんって、どんな人?

 「この道50年の大ベテラン。首(かしら)と右手を操る『主(おも)遣い』として活躍している。文楽では1体の人形を3人で操るんだけど、主遣いは長い下積みが必要で最低25年とも。登場人物の心情や身分を深く掘り下げ、品格ある芸風が高く評価されたんだ。国立文楽劇場(大阪市中央区)の11月公演に出演する。見に行くと、その技術にひきこまれると思うよ」

2017/8/3

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