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心中とみられる現場に駆け付けた捜査員。兵庫県内でも自殺や心中は後を絶たない=三木市内
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心中とみられる現場に駆け付けた捜査員。兵庫県内でも自殺や心中は後を絶たない=三木市内
神戸新聞NEXT
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 1月に亡くなった評論家西部邁(すすむ)さん=当時(78)=の自殺を手助けしたとして、西部さんと親交の深かった2人が警視庁に自殺ほう助の疑いで逮捕されました。西部さんは以前から周囲に自殺をほのめかし、2人は「先生の死生観を尊重して力になりたいと思った」と話しているといいます。「安楽死」や「尊厳死」など、さまざまな事情で自ら命を絶つ、延命しないケースがありますが、どう違うのでしょうか。(石川 翠)

 -自ら「死にたい」って言ってたらしいね。自殺した人は処罰を受けず、なぜ手伝うと処罰されるんだろう?

 「自殺者は全国で年間2万人を超えているが、現状では自殺を罰する法はないんだ。自殺した人が罰せられない理由は学説が分かれている。自分で死ぬことを決め、行動に移すことがそもそも違法行為であるのか、違法行為であっても実際に罰するほどではないなどの意見がある」

 「亡くなった人は罰せられないけど、生き残った人や、死には至らなくとも自傷行為のように自分の体を傷つけた人はどうするのかなどのバランスもある。一方、自殺に手を貸すことは、自分以外の生命を侵害することになるから見方は全く変わるんだ」

 -心中の場合は?

 「罰せられることがある。2015年に埼玉県の利根川で、介護疲れを苦にした親子3人が、車で入水自殺した事案では老夫婦が亡くなり、車を運転し、生き残った40代の娘が自殺ほう助などの罪に問われたんだ」

 -自殺ほう助って?

 「『ほう助』は、助けるという意味。自殺ほう助は、自殺のための道具や場所、知識などを提供する容疑で、今回は西部さんが現場で使ったロープや懐中電灯を2人が準備したことなどが当たるとされている」

 -「安楽死」も、第三者が関わるのでは?

 「死期が迫った患者に、医師が薬の処方や投与をするなど積極的に介入し、死なせる行為が安楽死。米国の一部の州などでは合法化されているが、日本では殺人や自殺ほう助の罪に問われる可能性が高い」

 「実際に、医師が末期がん患者に塩化カリウムなどを注射して死なせたり、患者の気管内チューブを抜いて筋弛緩(しかん)剤を投与したりした事件では、殺人罪に問われている。病気や障害を理由に死にたいと依頼され殺害した事例もあるが、その場合は嘱託殺人の罪に問われる」

 -「尊厳死」という言葉もあるね。

 「日本尊厳死協会の定義では、『不治で末期の患者が本人の意思に基づき、生命維持装置による過剰な延命治療を施さず、人としての尊厳を保ちつつ、安らかな最期を迎えること』。人工的に死期を早める安楽死とは異なり、日本では医師による『延命治療の中止』行為のみ認められていて、医師と患者本人や家族との話し合いによって決めることになる」

 「自殺ほう助と異なるのは、本人の意思があったとしても、医師のみに権限があり、末期患者の延命治療行為の中止に限定されている点だ」

 -海外での「安楽死」や「尊厳死」は?

 「欧州では、患者の意思により薬物などで死に導く安楽死の合法化が広がっていて、オランダは2001年に世界で初めて国として安楽死を合法化。翌年ベルギーが続き、フランスも05年に尊厳死を認める法律を制定している」

 -自殺ほう助が認められる国もあるの?

 「スイスは、世界でも珍しく自殺ほう助が定着している。『苦しんでいる人を助けようという動機であれば、法に触れない』と解釈されているようで、必ずしも医師によるものである必要がなく、末期患者に限定しているわけでもない。自殺の手助けをするサービスを受けるためにスイスを訪れる外国人もいるという」

 「でも、スイスに渡って自殺した英国人をめぐり、英国の法律によって自殺のための渡航を手助けしたとして、家族が自殺ほう助の罪に問われる裁判が行われたこともある」

 -日本で、自殺ほう助を認めた方がいいという議論は?

 「海外には生きることと同様、死ぬことも自ら決められるという意識が定着している国もある。日本では『終活』など、どのように死を迎えるかを考えることは広まりつつあるが、終末期医療の在り方をめぐって議論は続いていて、死を積極的に迎えることについてはまだ慎重だね。亡くなってしまうと、本人の死に対する意思も推し量ることが困難なうえ、家族や周囲の人への影響も考えると、簡単には答えが出せない問題だね」

2018/4/19

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