連載・特集 連載・特集 プレミアムボックス

わかる!ナットク

  • 印刷
西宮市上下水道局を捜索し、資料を運び出す兵庫県警の捜査員=1月30日、西宮市池田町
拡大
西宮市上下水道局を捜索し、資料を運び出す兵庫県警の捜査員=1月30日、西宮市池田町

 兵庫県西宮市の下水道工事を巡る入札情報漏えい事件では、同市下水建設課職員の男(35)が官製談合防止法違反などの疑いで兵庫県警に逮捕されました。「最低制限価格」の推計に必要な設計価格を業者側に教えたといいます。あらためて入札制度のあり方と、なぜ漏えいが起きるのかを考えます。(那谷享平)

 -そもそも入札って?

 「公共事業の財源は税金だから、高品質で値段を安くしないといけない。そのための制度が入札なんだ。自治体は、業者にそれぞれ事業費を示してもらい、一番安い価格を示した業者に発注する。発注を受けた業者が『落札した』ということになるね。業者同士を競争させることで出費を抑えるんだ。単純に価格で選ぶ『一般競争入札』や、参加企業を指定する『指名競争入札』、実績や経営状況なども加味する『総合評価落札方式』などがあるよ」

 -最低制限価格とは?

 「落札額の下限で、これを下回る入札は失格になる。過剰に安い値段で工事などを請け負う『ダンピング』を防ぐことで、公共事業の質を保つ目的があるんだ。工事の場合、材料費や労働時間などを積み上げた設計価格をベースに計算する。入札額が最低制限価格に近いほど、業者の利益は少なくなってしまうけど、落札の可能性は高まる。だから業者は過去の工事や入札結果を必死に分析し、最低制限価格ぎりぎりの入札額を目指すんだ」

 -西宮市の職員はなぜ逮捕されたの?

 「行政職員から最低制限価格や、その基になる設計価格を聞き出して落札する行為は、官製談合防止法などの法律に違反する。入札の公正を損なう犯罪だ。今回の西宮市の事件でも、職員は最低制限価格の根拠になる情報を業者側に伝えた疑いが持たれている。教えてもらった業者側の幹部2人も公契約関係競売入札妨害容疑で逮捕されている」

 -なぜ業者は不正をしてまで落札したいの?

 「自治体の発注する工事では億単位のお金が動く。業者にとって1件落札できるかどうかが経営に大きく影響するんだ。工事の設計価格を計算するパソコンの積算ソフトが進歩し、億単位の工事の入札でも数千円の差が結果を分けることがあり、業界の競争が激しくなっている」

 「業者同士で相談し、受注を割り振ったり、落札額を引き上げたりする『談合』が難しくなったことも背景にありそうだ。県警のある捜査員は『公共工事の不正といえば、以前は談合事件だったが、近年は最低制限価格などの情報漏えい事件が目立つ』と言うよ」

 -公務員はなぜ情報を漏らすの?

 「日頃の業者との付き合い方もあるだろうけど、賄賂を受け取っていることもある。賄賂を渡す側も、受け取る側も『贈収賄』の罪に問われるよ。県内では昨年、国土交通省豊岡河川国道事務所のトンネル工事を巡る贈収賄事件が起きた。西宮市の事件でも、県警が業者側から職員に情報漏えいの見返りがなかったか慎重に調べている」

 -不正防止の取り組みは?

 「16年に贈収賄事件があった姫路市は、職員にも最低制限価格が分からないよう、無作為に発生させた係数(ランダム係数)を使って価格を決めている。17年に水道工事を巡る贈収賄事件で揺れた南あわじ市は、基準価格を下回った業者に調査を実施した上で落札者を決める『低入札価格調査制度』を導入した。制度を改善する取り組みは続いているけど、不正を防止するために本当に必要なのは、職員と業者のモラル向上だね」

2019/2/9

天気(11月12日)

  • 20℃
  • ---℃
  • 20%

  • 19℃
  • ---℃
  • 30%

  • 21℃
  • ---℃
  • 10%

  • 20℃
  • ---℃
  • 20%

お知らせ