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横川三津夫・神戸大大学院教授
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横川三津夫・神戸大大学院教授

 「世界2位じゃダメなんですか?」という言葉で有名になった、神戸・ポートアイランドのスーパーコンピューター(スパコン)「京(けい)」。その役割を終え、30日に電源が落とされます。開発費1100億円超の国家プロジェクトで、一時は演算速度世界一を誇り、その性能でさまざまな分野に貢献しました。京の開発プロジェクトで中心メンバーだった神戸大大学院システム情報学研究科の横川三津夫教授(59)に、スパコンの原理から後継機「富岳(ふがく)」についてまで幅広く教えてもらいました。(霍見真一郎)

 -そもそもコンピューターとは、どういう仕組みですか?

 「コンピューターは、全ての情報を1か0に置き換え、電気信号にします。いわゆる2進法です。例えばコンピューターの『コ』という文字は、一般的な国際標準の体系では『11100011 10000010 10110010』という24個の1と0の並びに置き換えられます。意外かもしれませんが、『3+5』という足し算も、3は011、5は101というように、わざわざ1と0による数字の並びに置き換えてから計算しているのです」

 -では電卓やコンピューター、そしてスパコンは何が違うのですか?

 「電卓があらかじめ決められた計算しかできないのに対し、コンピューターは計算する内容を自由に指示できます。そして、その時代の最先端の技術をつぎ込んだコンピューターをスパコンと呼びます。世界初のスパコンとされるのは、1976年に米国の計算機会社が作った「Cray(クレイ)-1」。日本のスパコンは80年代初頭に登場し、2002年には地球環境変動の解明を目的とした『地球シミュレータ』が完成しました。12年に完成した京は、地球上にいる70億人が1秒間に1回ずつ計算しても17日かかる計算を、わずか1秒ですることができます」

 -京を使ったシミュレーションで世界的な成果が次々に出ているそうですが、どのようなものですか?

 「実験室に入らない雲の動きや、小さすぎて見えない分子運動、あっという間で観測できない化学反応、長期にわたる温暖化現象などを、コンピューター上で模擬実験します。また、空間を細かく区切って熱や力などのやりとりを数値化する計算科学は、理論と実験に次ぐ『第3の科学』とも呼ばれます。京を使った研究は、地球全体の大気の動きや車の空力分析、薬がタンパク質と結びつく様子の再現などさまざまなものがありました」

 -巨額のお金をかけて開発したのに、7年でなぜ壊してしまうのですか?

 「京が時代の最先端でなくなり、スパコンではなくなりつつあるからです。スパコンという“たすき”を、京から後継機の富岳へ渡す時期が来たのです。富岳は京の最大100倍の性能を目指しています。京で100日かかっていた計算を、富岳は1日でできるため、同じ時間でもっと多くのパターンを調べることができます。宇宙や気象、防災など各分野で新しい現象が発見できるかもしれません。計り知れない可能性が、そこにはあるのです」

2019/8/29

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