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 地下鉄、松本両サリン事件などオウム真理教による一連の事件で、殺人や殺人未遂などの罪に問われ、死刑が確定していた松本智津夫元死刑囚=執行時(63)、教祖名麻原彰晃=ら計13人の刑が7月、執行されました。これほど多くの死刑が執行されるのは「極めて異例」とも言われ、死刑制度の存廃について議論が活発化しています。どのような議論になっているのでしょうか。(杉山雅崇)

 -死刑は何で決まっているの?

 「刑法では、9条に刑の種類として、死刑、懲役、罰金などが挙げられている。11条には刑事施設内で絞首刑で執行すること、言い渡しを受けた者は執行まで刑事施設に拘置することが記されている」

 -死刑判決を下す基準は?

 「刑法では殺人、強盗殺人、現住建造物等放火罪などの重大な犯罪が死刑の対象になる。ただ、こうした犯罪に該当するからといって、必ず死刑になると決まっているわけではないんだ。被告に死刑を適用するに当たり、裁判官が参考にする基準は、犯行の動機▽結果の重大性▽社会的影響▽遺族の被害感情-など9項目ある」

 -そんな基準があるんだ。

 「この基準は、連続4人射殺事件の被告だった故永山則夫元死刑囚の判決で、最高裁が1983年に示した。『永山基準』と呼ばれ、今も死刑判決の基準になっているとされている」

 -死刑が確定してから執行までは、どんな手続きが必要なのかな。

 「執行には法務大臣による命令が必要になる。刑事訴訟法によると、法務大臣による死刑執行の命令は、死刑が確定してから6カ月以内にしなければならないと定められているんだ」

 -でも、オウムの事件で死刑が確定したのはずいぶん前だったよね。

 「松本元死刑囚の判決確定は2006年9月だったけど、共犯者全員の確定は今年1月。死刑確定に至るまでの膨大な裁判記録を法務大臣が慎重に見ることになる。再審請求といって、被告側から裁判のやり直しを求められることもある。死刑を存続すべきか、廃止すべきかなどは、大臣によって考え方が異なる場合があり、署名をしない法務大臣もいたんだ」

 -海外にも死刑制度はあるの?

 「国際人権団体アムネスティ・インターナショナル日本によると、17年末現在、死刑制度を維持している国は日本を含め米国(州によっては廃止)や中国、インドなど56カ国。一方、フランスやドイツなど106カ国は全ての犯罪で死刑を廃止しているんだ」

 -そんな中で死刑が執行されたんだね。

 「今回のオウム真理教元幹部らの死刑執行を受け、全国の弁護士でつくる日本弁護士連合会会長は『国家による重大な人権侵害に強く抗議し、死刑制度を廃止するよう強く求める』とした声明を発表した。駐日欧州連合(EU)代表部も『死刑は残忍で冷酷であり、犯罪抑止効果がない』などとする声明を出している」

 -「死刑はしない方がいい」という考え方が多いんだね。

 「国内では、必ずしもそうとは言えないんだ。内閣府が14年に実施した世論調査では、『死刑もやむを得ない』と答えた人の割合が80%を超えた。被害に遭った人たちへの配慮や、犯罪の抑止につながると考えている人が少なからずいる」

 「反対に、被告への人権や、裁判が間違ってしまうケースも過去にはあったなどとし、廃止すべきだという人たちもいる。オウム真理教の一連の事件では、教祖だった松本元死刑囚が事件の核心について自ら語る機会を奪うことにもなり、慎重にすべきだったとの指摘もあった」

 -議論が決着していない。

 「これまでは、死刑囚が再審請求をしている場合、執行の命令をしないことが多いとされてきた。でも、井上嘉浩元死刑囚ら複数の教団元幹部は再審請求中だった。なぜ死刑を執行したのかや、収容されている100人以上いる死刑囚のうち、執行する順番がどうやって決まるかなど、死刑については国民に知らされていないことが多い。国民的な議論を深めるには、情報開示も必要だろうね」

2018/9/22

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