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経営破綻した米証券大手のリーマン・ブラザーズの社屋(当時)=2008年9月撮影
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経営破綻した米証券大手のリーマン・ブラザーズの社屋(当時)=2008年9月撮影
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 2008年9月15日に米証券大手のリーマン・ブラザーズが破綻し、世界金融危機に陥った「リーマン・ショック」から丸10年になります。当時、日本の景気も一気に冷え込み、企業が非正規社員の雇用契約を打ち切る「派遣切り」が社会問題化しました。どういう出来事だったのか、振り返ってみましょう。(内田尚典)

 -原因は。

 「2000年代半ば、住宅バブルの米国で、金融機関は中低所得者向けの住宅ローンを盛んにつくりました。サブプライムローンです。優良な貸付先とされる顧客(プライム)の次(サブ)の層を対象としたため、こう呼ばれました。所得に見合っていない物件でも、不動産価格が上がるから売却して返済できる-との見込みで利用されました」

 -米国内の問題では。

 「サブプライムローンは金融機関にとっては貸し倒れが心配される半面、高い金利を得られる利点がありました。そこでローン債権を小分けにし、株式や投資信託などと組み合わせた金融商品にして販売し、欧米を中心に各国の銀行や保険会社に広がったのです。住宅バブルの崩壊で返済が滞ると、サブプライムローンを組み込んだ金融商品は値崩れし、日本の金融機関も損失を出しました」

 -利益追求が行きすぎたんだね。

 「米金融大手の経営は軒並み悪化し、米政府が公的資金の投入を見送ったリーマン・ブラザーズが破綻しました。資料を詰めた段ボール箱を抱え、オフィスを後にする従業員の映像を覚えている人も多いでしょう」

 -日本に影響は。

 「名門の破綻の衝撃は大きく、世界の金融市場は混乱しました。米国で大手自動車メーカーが破綻するなど、『世界恐慌以来』ともいわれる不況をもたらしました。日本でも、輸出に依存するメーカーを中心に需要が激減しました。兵庫県内でも、企業の景況感はバブル崩壊後に近い水準まで落ち込み、工場の稼働を止めて従業員を休ませる『一時帰休』が続出しました」

 -国の対応は。

 「エコカー減税などの景気刺激策を導入しました。雇用を維持する企業への助成金も設けられましたが、拡大の一途だった非正規の労働者を守れませんでした。また、大手に仕事を打ち切られるなどして経営難に陥った中小企業に対しては、銀行などが融資の返済を猶予する時限立法『金融円滑化法』ができ、倒産の増加を食い止めるのに一定の役割を果たしました。景気の回復に伴って経営再建を果たした中小企業がある一方、円滑化法の終了後も資金繰りが苦しいままの企業が残っています」

 -10年たってどうなの。

 「日銀は今年6月にまとめた地域経済の報告書で、中小企業の工場設備や研究開発などへの投資が、収益の伸び幅と比べて増えていないことに着目。リーマン・ショックの心理的な後遺症が要因の一つと指摘しました。当時を振り返る聞き取り例では『受注が激減し、設備過剰から業績が大幅に悪化した苦い経験がある。トラウマはいまだに払拭(ふっしょく)されていない』とする兵庫県内企業の声もあり、なお経営の足かせとなっています」

2018/9/15

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