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 2017年12月、新幹線のぞみの台車が破断寸前のまま運行を続けた問題で、国の運輸安全委員会が調査報告書をまとめました。台車を製造した川崎重工業(神戸市中央区)と鉄道事業者のJR西日本(大阪市)の双方に原因があったと結論づけ、2社は再発防止のための対策を順次進めています。どのような問題があったのでしょう。(竹本拓也)

 -運輸安全委が認定した重大インシデントって?

 「鉄道では、列車衝突や脱線などに至る恐れのあるケースのこと。乗客が無事だったから良かったでは済まされず『一歩間違えば大惨事につながりかねなかった』とみなされたんだ。過去に航空機などではあったけれど、新幹線では初めて。高速で安全に移動できるという開業以来の『安全神話』を揺るがした」

 -今回はどんな調査を?

 「事故調査官という専門家が現場に派遣され、約1年3カ月かけて原因の特定などを進めていた」

 -製造上の問題とは?

 「車両の安全を支える台車の製造に不備があった。川重は台車を製造する際、台座と接する底面のがたつきを抑えるため、許される値を超えて鋼材を削ってしまった。その結果、薄くなった部分に大きな力がかかり、亀裂が急速に進行した。さらに、寸法不足を埋める『肉盛(にくもり)溶接』という作業の後、強度を保つためにしなければならない処理があるのに、それをした形跡がなかった」

 -JR西の問題点は?

 「新幹線は博多を出発し、新大阪でJR西からJR東海に運行が引き継がれる。それまでの約2時間半、通常ではありえないもや、異臭など30件の異変が確認されていたにもかかわらず、床下を点検するなどきちんと原因を調べずに運転を続けたんだ。台車が納入された時の点検、その後の定期検査でも異常を見抜けなかった」

 -異変があったのになぜ止めなかった?

 「新幹線の運行をつかさどる東京の指令員と、車両のプロである保守担当社員との電話での会話で認識のずれがあった。保守担当は、異変を報告し、『点検をやろうか』などと告げたことで、指令員が床下点検の手配を進めていると思い込み、指示を待っていた。ところが、指令員は報告の一部を聞き逃し、点検するほどの事態ではないと考えてしまった。つまり、お互いに運行を続けるかどうかの判断を頼ってしまったんだ」

 -JR西は05年4月に乗客106人が亡くなる尼崎脱線事故を起こしたよね?

 「JR西は事故後、安全最優先の取り組みを進めているとアピールしてきた。それだけに、遺族も台車亀裂問題を強く非難した。JR西は『脱線事故の教訓を生かせなかった』と重ねて謝罪した」

 -今回の問題を受けた再発防止策は?

 「川重は品質管理に課題があったとして、車両部門で誰が作業しても同じ品質が確保できるような仕組みを取り入れた。肉盛作業では記録が残されておらず、何が問題だったのかを確認することができなかった。だから、全ての作業記録を残すようにした」

 「JR西は鋼材の厚さが不足していた川重製の台車を全て交換した。新幹線が走行中に台車の温度を赤外線で測定する装置も設置し、29日から運用を始める。車両に乗り込んで設備の不具合を点検する保守担当も拡充したんだ」

 「メーカーと鉄道事業者の双方が安全のために地道な努力を続け、信頼を回復しなければならないね」

2019/3/29

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