わかる!ナットク
-クマって日本にどのくらいいるの?
「北海道にいるのはヒグマ。本州・四国にいるツキノワグマは33都道府県に生息されているとされ、兵庫県だと897頭(2016年当初)がいると推定されている。でも、全ての地域で調査されているわけではなく、はっきりした全体の生息数は分かっていないんだ」
-兵庫県にもたくさんいるんだ。
「そう。でも一時は100頭以下にまで減った時期もあったんだよ。兵庫県では絶滅が危惧されるという理由で、1996年から狩猟を全面的に禁止。その後、ずっと保護してきたこともあって、最近は急増しているんだ」
-増えてよかったね。
「それが、いいことばかりでもないんだ。奥山で暮らしていたはずのクマが、人里にも出没するようになって農作物への被害だけじゃなくて、人が襲われる事案も相次いでいる」
-人里に出てくると、怖いよ。
「ツキノワグマは本来、臆病でおとなしい性格なんだ。でも、ばったり出くわしてしまった時などは驚いて襲ってくることがある。大きな爪と牙があるから、人が襲われると一撃で死んでしまうこともあるんだ」
-だから昨年20年ぶりに狩猟を再開したんだね。
「県の調査で推定生息数が800頭を超えたことが、1番の理由だね。環境省が『絶滅の恐れが当面ない』としている頭数なんだ」
-どのくらい捕れたの。
「捕獲数の上限は140頭だったけど、狩猟で捕れたのは4頭だった」
-4頭だけ? 少ないね。
「クマを捕ろうとするハンターが県内にはあんまりいないんだ。20年間禁止にしてきたから、クマ猟の経験もないし、装備もそろっていない。兵庫だと、シカやイノシシを追うハンターが大半なんだよ」
-じゃあクマは全然捕れなかったんだ。
「そうでもないよ。シカやイノシシ用のわなに引っかかって捕獲されるクマがとても多いんだ。年々増えていて、昨年は過去最多の127頭だった。こういうクマは人に危害を加えるわけじゃないので、森や山に返しているんだ」
-狩猟を再開した意味はあったの。
「20年間禁止される前でも、狩猟で捕れていたのは年間十数頭ぐらい。昔に比べると狩猟者も減っているし、一気に捕獲数が増えることはなさそうだね。でも、狩猟者がクマを追うことで、クマが人への恐怖を覚え、人里に降りてこなくなるという学習効果も期待されているんだ」
「そもそもクマが人里に降りてくるようになったのは、ドングリやブナなど山の中の広葉樹が減っていることも大きな理由。大切なのは、人とクマがすみ分けて気持ちよく暮らすこと。狩猟だけじゃなくて、クマが暮らしやすい森づくりも進めていくことが共存につながるんだよ」
-クマと仲良く、だね。
「今年はドングリやブナが豊作らしいから、クマもきっと山の中で喜んでいるはず。人里には、あまり来ないんじゃないかと言われているよ」
2017/12/5