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「三國無双瓢箪久 出世太閤記」で羽柴秀吉を演じる市川海老蔵さん(左)と三法師役の堀越勸玄ちゃん=2018年7月、東京・歌舞伎座(松竹提供)
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「三國無双瓢箪久 出世太閤記」で羽柴秀吉を演じる市川海老蔵さん(左)と三法師役の堀越勸玄ちゃん=2018年7月、東京・歌舞伎座(松竹提供)

 今年1月、歌舞伎界がおめでたいニュースに沸き立ちました。市川海老蔵さん(41)が来年5月、十三代目市川団十郎を、併せて長男の堀越勸玄(かんげん)ちゃん(5)が市川新之助の八代目を襲名すると松竹が発表。団十郎は江戸歌舞伎を代表する大名跡(だいみょうせき)ですが、伝統芸の世界の「名跡」って何?(片岡達美)

 -襲名のたび、名跡が注目される。

 「代々受け継がれる名前が名跡。その名前を継ぐことが襲名で、400年以上の歴史を誇る歌舞伎界では、俳優の名前の多くが現代に伝えられている。得意とする演目『お家芸』も引き継ぎ、これは歌舞伎以外の伝統芸でも同じだ」

 -団十郎の名はとりわけ大きく扱われる。

 「市川家に人気のお家芸が多数あるからだ。初代団十郎は元禄(げんろく)時代の花形役者。七代目は『勧進帳』を初演し、現代に続く18のお家芸『歌舞伎十八番』を制定した。明治時代に活躍した九代目は近代歌舞伎の基礎をつくり、『劇聖(げきせい)』とも呼ばれた。海老蔵さんの祖父である十一代目は昭和を代表する名優で、続く十二代目も平成の歌舞伎界に大きな功績を残した。その時代を担ってきたのが歴代団十郎。大名跡といわれるゆえんだ」

 -歌舞伎の歴史に果たしてきた功績は大きい?

 「英雄が悪者をやっつける『荒事(あらごと)』をお家芸としたことで勇ましく力強い江戸歌舞伎をつくりあげ、江戸の人から愛された。中村勘三郎(かんざぶろう)や、上方の坂田藤十郎(とうじゅうろう)などの大名跡があるが、団十郎は別格とされている」

 -襲名は自分で決めるの。

 「世代交代に当たり、年齢や実力が名前にふさわしいかを考慮される。世襲の歌舞伎界だが、今は興行を一手に担う松竹の意向が反映される。長い歴史の中では集客が停滞した時期もあり、襲名という一大イベントが話題をつくり、活性化の起爆剤となった。来年は東京五輪・パラリンピックもあり、世界に歌舞伎の魅力を広める好機ととらえているのかもしれない」

 -歌舞伎界は近年、襲名ラッシュだ。

 「16年に女形の中村芝雀(しばじゃく)が五代目中村雀右衛門(じゃくえもん)を、中村橋之助が八代目中村芝翫(しかん)を襲名、昨年は松本幸四郎家が親子三代同時に襲名し、話題になった」

 -ところで、海老蔵さんのニュースに出る「成田屋」とは?

 「市川家の屋号。江戸時代、名字は公家や武士などの特権だったため代わりに使っていた。初代団十郎の父が千葉県の成田山新勝寺の近くで生まれ、成田山にあつい信仰を持っていたのが由来とされる。他にも尾上菊五郎(おのえきくごろう)家は音羽屋(おとわや)、上方の片岡仁左衛門(にざえもん)家は松嶋屋と、代々呼ばれている」

 -歌舞伎以外の襲名は。

 「昨年、神戸の大蔵流狂言師、善竹忠一郎(ぜんちくちゅういちろう)さんが狂言界初の人間国宝だった祖父の名を継ぎ、二世善竹彌五郎(やごろう)を襲名。父も名乗らなかった名跡が53年ぶりに復活したと、話題になった」

 -大変なプレッシャー?

 「名前に込められた魂や精神性も引き継ぐわけで、それに見合う人間性や品格が求められる」

2019/2/23

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