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10日に初日を迎える大相撲春場所(エディオンアリーナ大阪)で、芦屋市出身の関脇貴景勝(たかけいしょう)関(22)の大関挑戦が注目を集めています。「大関昇進は直近3場所で33勝が目安」といわれていますが、明確な基準はあるのでしょうか。詳しくみていきましょう。(山本哲志)
-大関ってすごいの?
「大相撲力士の中で一番上の位はご存じ『横綱』。稀勢(きせ)の里関(現荒磯(あらいそ)親方)が先場所で引退したため、白鵬(はくほう)関と鶴竜(かくりゅう)関の2人になった。大関は横綱に次ぐ地位で、今は高安関、豪栄道関、栃ノ心関の3人だ」
-なかなかなれないんだね。
「大関、関脇、小結を合わせて三役と呼ばれる。関脇から大関になれば給料や待遇が大幅に上がるなど、別格の存在なんだ。その分、安定していい成績を残さないと昇進できない。近年は『三役力士が直近3場所で33勝以上すること』が基準とされているよ」
-正式に決まっているの?
「日本相撲協会が発表した明確な規定はなく、あくまでも目安だ。これまで、32勝以下でも昇進した例はあった。一方、貴景勝関は昨年9月の秋場所で9勝6敗、初優勝した11月の九州場所で13勝2敗、今年1月の初場所で11勝4敗と合わせて33個の白星を挙げたけれど、昇進は見送られたんだ」
-なぜ?
「秋場所が小結で9勝とやや物足りない成績だったことや、九州場所では上位陣の欠場が多かったことなどから、慎重な意見が多かったそうだよ。初場所の千秋楽で豪栄道関に敗れた後、阿武松(おうのまつ)審判部長が「勝てばそう(昇進と)思っていた」と明かしたように、34勝目を挙げていれば今場所は大関で迎えていただろう」
-春場所は何勝すればいいの?
「数字だけなら9勝で目安の『33勝』になる。でも、先場所から成績を下げれば昇進は難しいだろうから、10勝以上が昇進のノルマといわれている。貴景勝関は強烈な突き押し一本でスピード出世を果たしてきた力士。師匠の千賀(ちが)ノ浦親方は『押し相撲は歯車が狂うとガタガタになることもあるが、気持ちの切り替えが早いから連敗しない』と安定感に太鼓判を押しているよ」
-でもプレッシャーはすごそう。
「貴景勝関は『弱い自分に克(か)つこと。まわしを締めていないときの自分との向き合い方や行動が大事になってくる』と話している。大関になるには、地力だけでなく精神的な強さが求められるんだね」
-春場所は地元関西だから盛り上がりが楽しみ。
「兵庫県出身の幕内力士は貴景勝関だけじゃないよ。高砂市出身の妙義龍(みょうぎりゅう)関(32)はけがから復活して先場所は三役だった。阪神・淡路大震災のあった1995年1月17日生まれで、新入幕を果たした南あわじ市出身の照強(てるつよし)関(24)もいる。郷土の力士の頑張りをみんなで応援しよう」
2019/3/9