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もの知り投資学

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 ITの進歩は、株式の取引にも変化をもたらしました。コンピューターを使って千分の1秒単位といった非常に短い時間で売買注文を頻繁に出すことが可能になり、小さな値動きを利用して大きな利益を稼ぐことができるようになったのです。

 こうした取引は、HFT(ハイ・フリークエンシー・トレーディング)と呼ばれ、超高速取引、高速高頻度取引などと和訳されます。

 さまざまな銘柄のある時点の株価や出来高などを瞬時に収集、分析して有利な条件で取引できる銘柄を選び出すソフトをつくり、自動的に注文を出すのです。

 小さい株価の変化にも反応して売買するため、一つ一つの注文で得られる利益は少なめですが、大きな損失を被る恐れも小さくなります。そしてきわめて高い頻度で売買し利益を積み上げます。

 HFTは海外のヘッジファンドが米国の市場で最初に始め、今では世界中で見られます。日本でも数年前から手掛けられるようになり、現在は東京証券取引所の売買代金全体の約4割をHFTが占めているようです。

 当然、高性能のコンピューターを導入したり、ソフトを開発したりするには多額の資金が必要となるため、個人投資家がHFTに取り組むことは事実上不可能です。

 こうした事情もあり、米国では取引機会の平等を損なうとしてHFTの規制を求める動きも出ています。日本では目立った弊害が出ていないため、金融庁は「現状で規制は考えていない」としていますが、状況は注視しているようです。

 機関投資家がHFTで売買しているのは、出来高の多い主要銘柄がほとんどのようです。高度のITに頼ることができない個人が株で資金を運用する際には、ごく短期の価格変動の利ざや稼ぎに走らずに、企業の将来性を判断して、中長期的な観点で投資の対象をきめ細かく選ぶといった工夫も求められます。

2014/10/15
 

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