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もの知り投資学

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 今回は会社が資本金を増やすことを指す、増資について見ていきます。企業は経営に必要な資金を得るため、銀行からの借り入れや社債発行を行うことがあり、この場合は借金を返済しなければなりません。一方、原則的に返済の必要がないのが新株発行を通じた増資による資金調達です。

 設備投資や新事業の立ち上げの資金が確保できるほか、財務基盤を強化して信用力を向上することができます。ただ出資した株主が一定の議決権を持てば、経営に介入してくる恐れはあります。

 市場で注目されるのは発行済み株式総数が増えるために既存の株主にとって株式の価値が低下する「希薄化」の問題です。1株当たりの利益が減って配当金の額に響くとして、上場企業の増資発表後には売り注文が広がって株価が下落する事例が少なくありません。

 手法として目立つのは公募増資と第三者割当増資です。公募増資は広く一般の投資家が対象となり、新株の発行価格は市場で流通する時価が基準となる場合が多いです。第三者割当増資は主に経営再建や業務提携を目的に、新株を取引先や金融機関などの第三者に引き受けてもらうことです。

 米原発事業で巨額損失を出した東芝は昨年12月、海外ファンドなどを引受先とする約6千億円の第三者割当増資を行いました。財務状況は改善しましたが、新たに株主となったファンド勢が経営に口出ししてくるのではないかといわれています。

 東京証券取引所の調べでは全国の上場会社が新株発行などで資金調達した額は2009年に6兆円を超えましたが、その後はやや減少傾向です。業績回復を背景に企業の内部留保に当たる利益剰余金は過去最高の水準に達し、手元資金で十分に事業を進められるという背景があるようです。

 大手証券関係者は「希薄化の懸念があり、事業展開のために本当に増資が必要な案件なのか、既存の株主は厳しく見ている」と指摘しています。

2018/2/7
 

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