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もの知り投資学

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 今年の米国はおおむね緩やかな景気拡大が続きました。ただ大統領選で政治家としての実績がないトランプ氏が当選し、先行きには不透明感もあります。日本をはじめ世界に大きな影響を及ぼす米国経済の先行きが、今後も大きな注目を集めそうです。

 2015年末に約1万7400ドルだったダウ工業株30種平均は原油安や欧州の金融不安などを背景に、2月にかけて1万6000ドルを割り込む場面がありました。しかし、徐々に原油価格が持ち直して投資家心理が改善、8月には1万8600ドル台まで値上がりしました。その後もほぼ高値圏で推移しています。

 雇用に関する統計も比較的堅調で失業率は5%程度で安定的に推移しています。10月は景気動向を敏感に映す非農業部門の就業者数が前月から16万人余り増えました。実質国内総生産(GDP)は尻上がりに改善し、特に7~9月期は年率換算で前期比2.9%増(速報値)と2年ぶりの高い伸びを示しました。

 こうした流れを受け、中央銀行に当たる連邦準備制度理事会(FRB)は15年末に続き、政策金利をさらに引き上げる機会をうかがいました。

 伸び悩む新興国経済への配慮などで見送られてきましたが、マイナス金利といった異例の政策で景気を下支えしている欧州や日本に先行して、金融政策を正常化する意欲を示しています。

 トランプ氏は減税や歳出拡大、規制緩和による景気拡大を訴え、環太平洋連携協定(TPP)など自由貿易の推進に否定的な発言を繰り返しました。専門家からは財政悪化懸念などから「現実離れ」との批判も出ていますが、当選後にダウ平均は史上最高値を更新し、政策への市場の期待の高さを印象づけました。

 内外の不安を払拭(ふっしょく)して勢いを持続できるかどうかは、実現可能で効果的な政策を手早く打ち出せるかどうかにかかっていると言えそうです。

2016/11/30
 

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