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もの知り投資学

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 運用成績が東証株価指数(TOPIX)や日経平均株価(225種)に連動するような投資を手軽にできる金融商品が上場投資信託(ETF)です。近年は、日銀の金融政策との関連で注目されるようになりました。

 ETFは取引所に上場している投資信託を指し、国内外の株価指数や商品先物相場など、特定の指標の値動きに連動する仕組みとなっています。株式のように取引時間中に売買できます。元本は保証されていません。

 平均株価に連動するタイプなら、1銘柄を買うだけで225社の株式に分散投資するのと同様の効果を得られます。少額の資金で購入できる銘柄が多いのも特徴です。

 日銀は金融緩和策の一環で2010年に株価指数連動型のETFの買い入れを始めました。購入額は徐々に増え、13年に年1兆円、14年に年3兆円、今年7月には年6兆円ペースにすると決めました。実質的に年6兆円分の日本株購入に相当し、相場に大きな影響を与えています。

 今年は円高ドル安が進み、企業収益の悪化懸念が高まる中、平均株価は底堅く推移しています。市場の一部では、日銀のETF購入が株価を下支えし、不安を和らげていると評価されています。

 一方、累積購入額は10兆円を突破しており、「官製相場」によるゆがみが出ているとの指摘もあります。日銀は既にいくつもの上場企業の実質的な大株主の座を占めており、多様な投資家層による経営の監視が滞って企業統治上の問題があるとの批判が出ています。

 投資家の立場では、悪材料によって本来なら下げるべきところで株価が支えられるため、投資妙味のある割安な個別株を見つけにくくなると言われています。将来、仮に日銀が緩和策を終えてETFを売りに出せば、株式相場は一転して下落圧力にさらされる恐れがあります。投資の際は今の市場が抱えるこのような事情にも目配りが必要ではないでしょうか。

2016/11/2
 

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