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もの知り投資学

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 2016年の新興国景気はインドが好調だった半面、資源安が響いてブラジルやロシアはマイナス成長に陥る見通しです。11月末に石油輸出国機構(OPEC)が原油減産を決めました。今後は資源価格の持ち直しが景気回復を促すと期待され、株価は先行して上がり始めていますが、米国での保護主義の高まりが足を引っ張る恐れがあるとの懸念も出ています。

 鉄鉱石や原油を輸出するブラジルは資源価格高騰を受け、10年に実質国内総生産(GDP)が前年比7.5%増に達しました。その後は失速し、16年は3.3%減になると国際通貨基金(IMF)は予測しています。

 国営石油会社の汚職事件を背景に政治が混乱し、経済の停滞につながりました。ただブラジルの主要な株価指数は、原油高への思惑や8月末就任の新大統領による構造改革への期待から最近は上昇基調となっています。

 ロシアは、資源安に加えてウクライナへの介入に伴う欧米の経済制裁が影を落とし、16年のGDPは0.8%減が見込まれています。産油国のベネズエラやナイジェリアは経済危機に直面しており、景気の先行きは原油相場の動向が鍵を握るといえるでしょう。

 中国は昨年よりも成長が鈍化し、主要な貿易相手である東南アジアの経済に悪影響が出ています。一方、インドは国内の消費市場が拡大し、16年の成長率見通しは7.6%で中国を上回っています。

 17年は、ブラジルやロシアがプラス成長に転じるもようです。しかし米大統領選でトランプ氏が勝利し、先行きには不透明感も出ています。

 米国が保護貿易に傾斜すれば、新興国は対米輸出が鈍る恐れがあります。積極財政による景気刺激策を好感した投資マネーが米国に集中すれば、新興国から資本が流出するリスクもあります。資源価格に加え、トランプ氏の政策運営が新興国経済を占う上で重要なポイントとなりそうです。

2016/12/14
 

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