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もの知り投資学

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 日本から遠く離れたイランやイラクで発生した事件が、国内の金融市場を揺らすことがあります。今回は、中東の地政学リスクと市場への影響について見てみましょう。

 過激派組織「イスラム国」(IS)の問題やシリア内戦をはじめ、中東は多くの課題を抱え、大規模なテロや化学兵器の使用、クーデター未遂などが報じられています。

 こうしたニュースが伝わると、市場では投資家にリスクを回避する心理が働きます。一般的には株式が売られ、国債は買われて利回りが下がります。外国為替市場では比較的安全な通貨とされる円が買われ、円高ドル安になる傾向があります。

 原油先物相場は中東情勢の悪化に敏感に反応します。原油供給に支障が出るとの懸念から世界的に値上がりし、東京の原油相場にも波及します。

 中東の混迷の要因として、根深い宗教的な対立が指摘できます。パレスチナ問題を抱えるイスラエルではユダヤ教とイスラム教の反目があり、エジプトではキリスト教の一派コプト教徒がテロの標的となっています。

 イスラム教のスンニ派とシーア派の確執も先鋭化しています。両派が混在するイラクではテロが頻発し、シーア派のイランとスンニ派のサウジアラビアは2016年に断交しました。

 イエメンではサウジの支援する暫定政権とシーア派系武装組織が衝突しています。シリア内戦は、アサド大統領と同じイスラム教アラウィ派と、国内多数派のスンニ派の宗派間憎悪という側面もあります。

 民族問題も絡み合います。トルコやイラン、イラク、シリアなどのクルド人は国家を持たない最大の民族と称され、独立を目指す武装闘争が起きています。

 今の中東の混乱には歴史的な背景があり、地域安定化には長い道のりが想定されます。世界の現状を知り、市場の動きを読み解く上で、中東情勢への理解を深めることが一段と重要になってきていると言えるでしょう。

2017/8/2
 

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