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ある借り上げ復興住宅建設時の収支計画。35年ローンで、20年後も1億1394万円の借金が残る計算(単位は千円)
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ある借り上げ復興住宅建設時の収支計画。35年ローンで、20年後も1億1394万円の借金が残る計算(単位は千円)

 阪神・淡路大震災後に神戸市が住宅を借り上げて被災者に提供した「借り上げ復興住宅」で民間オーナーの多くが、家を失った被災者のために集合住宅を建設し、借り上げ復興住宅として神戸市に貸し出した。だが、そのオーナーも被災者。建設費の返済は重く、今も1億円以上の借金を抱える人たちがいる。20年の期限を迎え、入居者に返還を求めざるを得ないオーナーもまた苦悩する。

 神戸市長田区で、借り上げ復興住宅を所有する森岡宏好(ひろよし)さん(73)は、父親が所有していた木造長屋が全壊。市の民間オーナー募集を聞き、「復興に役立つなら」と3階建て15戸の住宅を建てた。

 ただ、契約は20年、ローンは35年。市からの賃料が切れると、ローンを支払えなくなる恐れもある。契約前、期限後の対応を尋ねると、市職員は「その時にお話します」と答えたという。

 現在、借金は約1億2千万円。借り上げ期限は2019年。期限後の返済の不安から、建物をすでに売りに出しているが、売れても借金が残る金額しかつかない。「市は契約切れの後の住戸別の継続入居を求めるが、認めないかもしれない。だが、復興住宅を建てたときの思いから、『出て行ってくれ』とも言えない」と森岡さん。「市は恒久住宅として最後まで面倒をみてほしい」と話す。

 別の長田区の借り上げ住宅を所有する女性(75)は継続入居を認める方針だが、「残ったのは借金と家庭不和だけ」とこぼす。

 市に貸すため、35年ローンで約1億4千万円の借金をし、震災で全壊した自宅兼仕事場の跡地にマンションを建てた。20年しか借り上げ契約がないことについて市に聞くと、担当者は「20年たったときに話をしましょう」と言い、契約継続に期待を持っていた。

 市から賃料として月約50万円入るが、支払額は約60万円。夫は7年前に脳内出血で倒れ、昨年死亡した。家業を継いだ次男と女性が働き続け、今も8千万円の借金がある。

 女性は借り上げ住宅と同じ建物の一室に住み、入居者の転居に心を痛める。「助け合って暮らしてきたのに、85歳以上や要介護度が高い人だけを残して誰が面倒をみるのか。独居死が増えてしまう」と嘆く。森岡さんや女性のように、20年の期限後も借り上げ契約を継続するよう、市に求める民間オーナーは少なくない。(高田康夫)

2016/1/10

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