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神戸市須磨区の千歳地区で続いてきた「追悼の集い」=2015年1月17日、神戸市須磨区千歳町
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神戸市須磨区の千歳地区で続いてきた「追悼の集い」=2015年1月17日、神戸市須磨区千歳町

 阪神・淡路大震災から21年を前に、継続してきた追悼行事を取りやめる地域団体が相次いでいる。背景にあるのは、主催する自治会役員らの高齢化と後継者不足。被害が集中した地域では、被災者が転居を余儀なくされ、震災後に移り住んだ人の割合が増えている。課題に挙がる記憶の継承。防災の専門家は「危機的な状況。子どもらを交え、次へつなぐ手だてを」と強く訴える。

(上田勇紀、高田康夫)

 昨年末、神戸市須磨区の千歳地区連合自治会の役員会。1月17日早朝、千歳公園で開いてきた集いについて投票が行われ、今年から中止が決まった。

 役員の一人で、震災で次男秀光さん=当時(20)=を亡くした崔敏夫さん(74)はショックを隠さない。地区は9割の住宅が倒壊・焼失し、47人が亡くなった。「高齢化の現状は分かるが、形を変えてでも続けてほしかった。47人を悼む場がなくなる」と落ち込む。

 連合自治会長の埴岡秀行さん(77)によると、2~3年前から、準備作業などが「体力的にきつい」という声が役員から寄せられていた。役員16人の多くが70代以上。埴岡さんは「悩みに悩んだが、震災20年を機に終えようとの声が多く、やむを得なかった」と話す。

 自身も自宅と工場が全焼した。「あの日を忘れたわけではないが…」とうつむいた。

    ◇

 神戸市東灘区の繁栄自治会も、今年から追悼行事を取りやめた。99人の住民が亡くなった地区だが、机を運び込み、来場者に配る甘酒を用意するなど、高齢化した役員の負担は大きかった。震災19年のときからやめる意向を伝えてきたが、続けるために手を挙げる人はいなかった。

 以前は自営業者が多かったが、震災で多くがつぶれた。地域外で働く会社員が移り住み、震災前からの住民の割合は2~3割に。会長の岸本昌市さん(71)は「定年延長や親の介護などで地域活動ができない人も多く、担い手がいない」と嘆く。

    ◇

 神戸市が2013年に行った地域組織基礎調査(2158団体が回答)によると、自治会など地域団体代表者の年齢は70歳以上が39・4%。震災が起きた1995年の22・5%と比べ、倍近く増えた。

 運営や活動の課題は、役員の高齢化▽後継者がいない▽行事の参加者が少ない▽行事の準備に人手が足りない-など、共通の悩みが浮かび上がる=グラフ。

 兵庫県が15年に行った県民意識調査では、地域活動に参加している割合は、14年より4・4ポイント減の48・5%。初めて5割を切った。

    ◇

 被害が大きかった神戸市灘区のJR六甲道南地区でも、今年に入り17日の追悼行事取りやめが決まった。

 一方、昨年11月時点では、式典を取りやめる予定だった芦屋市津知町自治会は、継続を求める声を受け、地域で震災を語り継ぐために形を変えて続けることにした。

 継続か、中止か-。各地で難しい判断を迫られている。

 【小中学校や高校と連携を】

 ▽防災計画が専門の室崎益輝・神戸大名誉教授の話 忘れずに伝え続けることが減災の基本。なのに、活動を高齢者に任せきりにしているのが問題だ。行政や住民は、小中学校・高校と連携するなどして、存続させる工夫が必要。21年を機に、伝えていこうという新たな動きも出ている。担える人は、震災経験者に限らない。今こそ、行事を続けてほしい。

2016/1/16

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