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震災関連文書が入った段ボール箱が積み上がる旧須磨区役所=神戸市須磨区中島町1
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震災関連文書が入った段ボール箱が積み上がる旧須磨区役所=神戸市須磨区中島町1

 神戸市が進める阪神・淡路大震災の関連文書の整理作業が間もなく6年を迎える。タイトルがなく分類に時間がかかったり、文字の修復が必要だったりと長期化を迫られ、段ボール箱約6千箱に上る文書のうち、昨年末までに完了したのは約千箱にとどまるという。未曽有の大災害での行政対応を伝える記録としての重みがある一方、保管場所の懸念もあり、同市は未整理文書の一部を処分する検討を始めた。

 神戸市は1999年11月、震災関連の全ての公文書を特例で「継続保存」とした。散逸を防ぐとともに、各部署での対応を後世の検証材料として残すためで、2010年4月に整理作業に取りかかった。

 段ボール箱には、通知文や避難所の日報、地図などがフロッピーディスクなどとともに雑多に詰め込まれ、デジタル化や感熱紙からの複写を必要とする文書もあった。昨年1月、分類・整理が終わった約500箱分の目録を一般公開し、閲覧環境の整備も進めるが、一方で作業の長期化が問題となっていた。

 同市企画課によると、文書は主に旧須磨区役所で保管しているが、併設する須磨消防署の建て替え用地になっているという。代替の保管施設の確保も難しく、同課は未整理文書の特例措置を見直し、約2500箱を占める義援金や見舞金などの申請書、罹(り)災(さい)証明書の控え、仮設住宅契約書などの文書について処分の検討を始めた。

 これらの文書に記載されているのは、被災者の名前や住所など基本的な個人情報にとどまり、担当者は「文書としての歴史的価値は認めがたい」と説明。さらに、添付書類が多く、整理作業への影響が大きい▽情報公開の対象外となる可能性が高い▽申請などの事実関係はデータで記録が残っている-などの要因も踏まえたという。

 同課は、検討内容を各文書の所管部署に昨年12月21日付で通知。近く意向を取りまとめ、異論がなければ最終決定する。量の膨大さから現段階でデジタル化の予定はないが、処分が決まった場合でも、一部をサンプルとして保存する方針。

 兵庫県は、1996年7月に震災関連文書の保存を決め、約1万2千冊分のファイルを保管している。県復興支援課などによると、各部署から集める段階で一定の基準を設けており、神戸市が処分の検討を始めた被災者の申請書類などは含まれていないという。(小川 晶)

 【神戸大の室崎益輝名誉教授(防災計画学)の話】 震災関連文書の価値判断というのは非常に難しい。「未曾有の災害の記録として全て残すべき」という考え方もあれば、「保管・整理にも税金がかかる以上、何から何まで保存するのは現実的でない」との見方もある。一つ一つの文書に対する思い入れも民間、研究者レベルでさまざまに分かれる。行政は、それぞれの文書にどんな価値が見いだせるのか、将来的な視点も踏まえて検討していくべきだろう。

2016/1/15

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