自然災害が頻発する諸外国の防災担当者が16日、阪神・淡路大震災で露出した野島断層を展示する「野島断層保存館」(兵庫県淡路市)を訪れた。悲惨な記憶を伝える「遺構」をありのままに残す意義を学び取りつつ、減災への決意を新たにした。
同断層は震源近くの旧北淡町(現淡路市)で約10キロにわたってずれを生じ、淡路島内では62人の犠牲を出した。被災者の反発を受けたが保存に踏み切り、同館に約140メートルが横たわり、国の天然記念物にも指定される。
今回の来訪はJICA関西(神戸市中央区)が途上国を対象に開く研修で、アジアや南米、オセアニアなど16カ国から計19人が参加。壊滅したまち並みや大規模火災などの被害を写真と映像で学習した後、断層の隆起とずれに見入り、機械で阪神・淡路と同じ震度7の揺れを体験した。
2013年のフィリピン地震で大きな被害を受けた同国ボホール州政府のガリア・マークシドニィ・ドゥさん(34)は「実際の断層を残し、震災を体感することが防災に生きる。この取り組みを自国も見習いたい」と話した。(佐藤健介)