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災害に強い特設公衆電話 設置進む 県内2千カ所

2016/01/25 20:54

 阪神・淡路大震災から21年がたち、災害に強い通信手段の公衆電話が減る中、NTT西日本と兵庫県内の市町が、大規模災害時に備え避難所で使う回線と特設公衆電話機の事前設置を進めている。2016年度中に全41市町(1943カ所)で整備を終える見通し。災害時に電話機と回線をつなぐだけで使え、NTT西は「南海トラフ巨大地震やゲリラ豪雨などに備えたい」としている。

 街中などにある一般公衆電話は、携帯電話の普及で設置台数は右肩下がり。NTT西によると、1984年度末に全国で約93万台あったが、14年度末には約18万台まで減少した。兵庫県内では、阪神・淡路大震災時に3万台以上あったが、15年末時点で7762台という。

 急速に姿を消す公衆電話だが、災害時には強みを発揮してきた。回線が混み合っても、固定電話や携帯電話よりもつながりやすい。

 そのため、NTT西は災害発生時に特設公衆電話を設置。阪神・淡路では固定電話がつながりにくくなる状態が続いたため、特設公衆電話に長蛇の列ができた。

 ただ大規模災害では被災地が広く、通信設備の損傷などで設置に時間がかかる。そこでNTT西は13年、迅速に通信手段を確保するため、兵庫を含む管内30府県で約1万5千カ所に事前設置する方針を打ち出していた。

 小中学校の体育館など避難所となる公共施設にNTT西が回線を開設。自治体は避難所に電話機を保管し、災害時に電話機を回線につないで発信専用として無料で通話できるようにしている。

 県内では15年度末までに神戸市の一部と尼崎、三田市を除く1770カ所で設置。避難所の規模により、1カ所に1~3台の電話機が用意されている。16年度中に残る3市の173カ所を整備する計画だ。

 NTT西日本兵庫支店の担当者は「設備に加え、阪神・淡路の経験を受け継ぎ、災害への意識と知識の備えもしたい」と話す。(段 貴則)

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