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尼崎連続変死事件公判

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 尼崎連続変死事件で、角田美代子元被告=自殺時(64)=の次男角田優太郎被告(28)の裁判員裁判第27回公判が5日、神戸地裁で開かれ、起訴された事件全体を通じた被告人質問があった。

 弁護士と優太郎被告の主なやり取りは次の通り。

 -2011年11月に美代子元被告が傷害容疑で逮捕され、その後、死体遺棄容疑などで再逮捕が続いた。どのように考えたか。

 「多分、すぐには(刑務所から)出てこないだろうと思い、美代子から逃げることを考えるようになりました。ほかの家族が何を考えているか分からなかったが、話し合いをするうちに、みんな美代子と一緒には暮らしたくないというのが分かった」

 -逮捕後の美代子元被告は、あなたたちにどういうことを求めてきたか。

 「逐一、生活状況を報告するようにと。あとは頻繁に差し入れをするように言われました」

 -接見禁止決定が出て、弁護士を通じたやり取りしかできない状態になった。それでも、元被告は家族のことでいろいろ干渉してきたのでは。

 「相談せずに、僕の長女を幼稚園に入れることにしたが、美代子は『何で行かすんや』と激怒し、僕に対して『角田家から籍を抜け』とも言ってきた」

 -元被告の逮捕後、あなたはどういう生活を。

 「知人とダイニングバーを始めました。パチンコで勝ったお金を開店資金にした。店は楽しかったし、経営も順調だった」

 -元被告に相談は。

 「事後報告しました。伝言で『ありえへん。何で働いてんねん。すぐ辞めろ。パチンコで生活できるやろ』と」

 -12年11月にはあなたも逮捕された。その時の心境は。

 「ホッとした思いは正直ありました。三枝子さん(角田三枝子被告)が事件のことを話しているというのを聞いていたので、僕も言っていいんかなと」

 -12年12月に美代子元被告が自殺した。どう思ったか。

 「生まれてからずっと縛られ続けてきた呪縛が解けたな、と。それと、ずるいなという思い。美代子が起こした事件だから、最後まで本当のことを話して、おわびしなくてはいけないと思っていました」

 -留置場や拘置所での生活はどうか。

 「規律正しく、管理された生活ですが、美代子と暮らすよりストレスは感じない。怒られたり、怒鳴られたり、殴られたりすることはないので」

 -最近、あなたは本も読んでいると。

 「キング牧師の言葉が書いてある本を読み、『後世に残る最大の悲劇は、あしき人の暴言や暴力でなく、その他の人の沈黙と無関心である』という言葉がすごく印象に残った。事件当時の僕のことを言われているようで」

 -角田家の生活を振り返って。

 「本当に異常な生活。意味の分からない理不尽な理由で、毎日誰かが怒られ、誰も美代子を止められなかった」

 -事件当時の自分についてどう思うか。

 「美代子を怖がりすぎて、何もできず、そこから先に進めなかった自分がふがいない。もっと早い段階で美代子を止められていたら、こんなにたくさんの人が亡くならなくて済んだかもしれない」

【特集】尼崎連続変死事件公判

2015/2/5
 

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