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尼崎連続変死事件公判

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 尼崎連続変死事件で、仲島康司被告(45)の裁判員裁判第5回公判が6日、神戸地裁であった。2008年にマンションベランダの物置で監禁、殺害されたとされる妻茉莉子さん=死亡時(26)=の事件が審理され、弁護側の被告人質問があった。

 弁護人と仲島被告の主なやりとりは次の通り。

 -角田美代子元被告との出会いは。

 「角田家から逃げていた橋本次郎さんが住む東京のアパートに美代子たちが彼を連れ戻しに来た。僕は(橋本さんと)一緒に住んでいたが、2日後に(アパートを)出るつもりだった」

 -元被告はあなたを気に入った。

 「『運命を感じる』と言われました。僕が(沖縄で転落死した次郎さんの兄)久芳さんと同じ誕生日で、美代子が好きな沖縄の出身だったので」

 -あなたは断ったが、同居することになる。元被告の印象は。

 「怖いなと思ったけど、優しいし、お金を貸してくれるいい人だなとも思いました」

 -しかし虐待されるようになった。

 「虐待された人に情を掛けたのが、美代子は気にくわなかったようです」

 -08年6月上旬、あなたと茉莉子さんは尼崎市のマンションから逃亡する。

 「美代子に『茉莉子と今後のことを話し合え』と、近所の公園で話し合いをさせられた。雨が降ってきて、雨宿りをするために国道2号に出て、2人で神戸方面へ歩き始めました。僕は足の手術の直後でつえを突いていて、ゆっくりゆっくり歩いていました」

 -休みながらも一日中歩いた。

 「最初の日は甲子園球場近くのスーパーの建物で寝ました。翌朝、警備員に起こされて、また西へ歩いた」

 -食事は。

 「違法だとは分かっていたが、コンビニやスーパーで万引したおにぎりを食べました」

 -その後は。

 「国道沿いのボウリング場の待合のソファで夜は休んだ。3日目も朝から歩いて三宮に着きました」

 -食品以外のものを万引した?

 「地べたで寝ていたので体が汚くて、シャンプーとか石けん、Tシャツを万引しました」

 -石けんはどこで使ったのか。

 「ポートアイランドの船乗り場のトイレで体を洗いました。夜は百貨店の横で段ボールを敷いて眠り、その後も元町の高架下や長田の大きなビルの横で寝て須磨海岸に着いた」

 -須磨での茉莉子さんの行動は?

 「薬局に入って、なかなか出てこないので見に行くと、化粧品コーナーで試供品を使っていた。虐待でできた傷を隠そうとしていました」

 -茉莉子さんは何か言っていた?

 「『傷目立たん?』と聞いてきたので、僕は『さっきよりまし』と答えました。でも実際は厚化粧で、おかしかった。傷は隠しきれていなかったが、一生懸命やってる姿を見たら、かわいそうで言えなかった」

 -その日は海岸で寝て、起きたあなたは茉莉子さんに何を話した?

 「茉莉子に1人で逃げるように言いました。茉莉子は『やっさんと一緒にいた方が助かる。足があかんでもうちが動けるし、2人の方がやっていける』と言ってくれた。大きな街に行こうと、姫路を目指した」

 -姫路での出来事は?

 「姫路城近くのベンチで茉莉子が泣き出した。『なんでうちが逃げなあかんねや』と。僕は横で聞いていて、返す言葉がありませんでした」

 -翌日、あなたの友人がいる東京に向かった。

 「茉莉子が電車に酔ったので、静岡の浜松駅で降りた。隣の駅まで歩く途中、前を歩く茉莉子が僕の手を引っ張る後ろ姿が印象的でした。支えになっている人が一緒にいるんだとあらためて思った。逮捕されてからもずっと記憶にあって、今でも夢に見る場面です」

 -東京の友人にしばらくかくまってもらった。茉莉子さんの様子は。

 「美代子から離れて、明るくなっていた。友人の肩をもんで、奥さんの炊事を手伝い、子どもと遊んで家族に溶け込んでいた。これが本当の茉莉子なんだなと、かわいらしかった」

 -家を探して回った。

 「新宿のNPO法人でこれまでの経緯を話すと、相談員から美代子の住所や電話番号を聞かれた。断っても、相談員は『悪いようにはしないから大丈夫』と言ってきた。でも美代子と話したらこの人も言いくるめられると思って拒否しました」

 -友人を頼って訪れた沖縄で、友人と3人でドライブ中に、あなたの兄から電話があった。

 「美代子が一緒じゃないかと直感がありました。友人は巻き込みたくないので帰らせ、兄に会うと『ごめん。角田さんも一緒だ』と言われた。茉莉子に1人で逃げるように言ったが、茉莉子は諦めた様子で『うちも行く』と」

 -その後、元被告に捕まった。

 「美代子は怒って僕の方に走ってきて、美代子から借りていたつえを『うちのじゃ、返せ』と取り上げ、茉莉子にはTシャツをまくし上げて、ブラジャーを引きちぎりました。周りには他の人もいたが、怒鳴り散らしていて、『やっぱりこの人からは逃げられないな』と絶望的な気持ちになりました」

【特集】尼崎連続変死事件公判

2015/2/6
 

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