連載・特集 連載・特集 プレミアムボックス

尼崎連続変死事件公判

  • 印刷

 尼崎連続変死事件で、角田美代子元被告=自殺時(64)=の義理の娘瑠衣被告(30)に対する裁判員裁判の初公判が14日、神戸地裁で開かれ、事件全体について被告人質問があった。弁護側との主なやりとりは次の通り。

 -元被告と出会った時の印象は。

 「初めはよその人がやってきたということで、敵意を持っていたけど、すぐに私の方から懐(なつ)きました」

 -どうして懐いた?

 「母親や姉には共感してもらえなかったことを、美代子は褒めて『ええな』と話を聞いてくれました。例えば、『星がすごいきれいに見えるとこやな、ええとこ住んでんな』と言われて、母親には私が流星群を見てる時でも『寒いから入ってきたらば』と言われたんですけど、それが美代子には『ええな』と言われました」

 -あなたの実家に親族一同を集めて虐待などをする元被告を異常とは思わなかった?

 「法律的にもしてはいけないことなんだと分かっていたけど、美代子が怒る理由は一理あると思ったし、身内が怒らすからあかんな、と思ってました」

 -警察に言おうとは?

 「いつも『警察なんか怖くない』と言っていて、実際、何回かパトカーが来たんですけど、美代子が説明すると納得して帰っていきました」

 -出されたご飯が食べられず、あなたが怒られることがあった。

 「美代子は振る舞うのが好きなので、残すと『きわいやつやな』と怒られました」

 -そういったことが積もり積もっていたこともあると思うが、あなたが怒られた時があった。きっかけは。

 「主人(元被告の次男・優太郎受刑者)と口げんかしてるのを見つかって、2人でとっさに隠したんですけど、隠したことも怒られました」

 -どうした?

 「とにかく謝るけど、言い訳してると言われて、黙ってもいけないし、何してもいけない感じでした」

 -許されるまでどれくらいかかった?

 「2週間くらいです。私が死にたいと四六時中言ってて『そこまで思ってるなら、おばちゃんがもう1回面倒見たるわ。あんたの命ちゃうで、ないもんだと思ってついておいで』と言われました」

 -17~27歳までの約10年間、元被告と生活した。怒られないためのこつは。

 「こう思う、こうしたいと言って、それが美代子の価値観とずれてると怒られるので、私は自分が食べるメニューを選ぶ時は『どれがいいと思う?』と聞いて、髪切りに行く時でも『どんなんがええ?』と聞いていました」

 -元被告の特徴は。

 「怒りやすいです。怒ったらしつこいです。ひどいことを平気でできました」

 -でも、人間的な面もあった。

 「私がついて行こうと思ったのは、お母さんらしいことをするし、そういう時は楽しそうに、幸せそうにしているのが好きでした」

 -例えば。

 「台所に立つのが好きで、料理もしてくれたし、行事もたくさんしてくれて、誰の誕生日の時もできる限りちゃんとお祝いしていました」

 -元被告は、たたくことや暴力はどういう感覚でしていたのか。

 「美代子にとって、たたくことはいいことなんです。『本気になってたら手が出るやろ』『子どもはたたいて教育するんや』とか、本気の気持ちの表れがたたくことに出るという考えなので、たたけると『えらいな』と認めてもらえます」

 -プライバシーは。

 「ほとんどないです。私がお風呂の鍵をかけてたことで怒られたこともあります」

 -今、元被告に対してどういう気持ちか。

 「好きだった面があるからと言って、それ以外のひどかったことを認めようとせずに、正当化していたことがこういうことになってしまったので、私も美代子も悪いところがあると思います」

 -決別をするという意志はあるか。

 「決別…。まあ悪かったところは認めて、そこは私の中から出していかないといけないなと思っています」

2015/10/14
 

天気(9月8日)

  • 33℃
  • 28℃
  • 40%

  • 33℃
  • 25℃
  • 50%

  • 34℃
  • 28℃
  • 20%

  • 34℃
  • 27℃
  • 40%

お知らせ