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尼崎連続変死事件公判

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 尼崎連続変死事件で、角田美代子元被告=自殺時(64)=の義理の娘瑠衣被告(30)の裁判員裁判第15回公判が25日、神戸地裁で開かれた。ベランダ物置に監禁されて死亡し、岡山県の海で遺体が見つかった橋本次郎さん=死亡時(53)=に対する逮捕監禁、殺人、死体遺棄罪の審理で、被告人質問があった。

 検察官との主なやりとりは次の通り。

 -緊縛された次郎さんに関して、元被告らはどんな会話をしていた?

 「多分、(李)正則(被告)だったと思うんですけど、『おばちゃん(元被告)見て。はりつけにしたった』と言って、美代子も鼻で笑って『ええやないの』と言ってました」

 -その会話についてどう思った?

 「正則がやり過ぎてる、ふざけてるという時は、よく美代子が止めていたけど、一緒になって笑ってるのを見て、やりたい放題だな、と思いました」

 -あなたはどう決着することになると思っていた?

 「美代子が『(どうするか)考えるから取りあえず物置に入れといて』と言っていたので、仮置きして、その間にどういう風に殺してやろうというのを考えて、家族からメンバーを選んで実行すると、そういう風に考えてました」

 ◆      ◆

 弁護人との主なやりとりは次の通り。

 -次郎さん事件が起きた2011年ごろの角田家は、08年ごろとは大きく違っていた。

 「大きく違っていたと思います。ほころびが見えてる状態でした」

 -ほころびとは?

 「家族を大事にして生活することがほとんど無くなってました。具体的には、家の人はパチンコに行っていて、初めは遊びで行っていたのが、家計を支えるのに必要と言い出しました。でもそれ以上に、みんな家にいたくないから無理やりパチンコの予定を組んで外に出てたと思います」

 -なぜ家にいたくないのか。

 「美代子に関わるのが嫌だからだと思います。一番(嫌がっていたの)は(夫の)優太郎(受刑者)で、他の人も内心は同じだと思うけど、『うっとうしい』『勝手にやっとれ』という陰口を言っているのは聞いていました」

 -優太郎受刑者らが元被告のどこを嫌っていると思った?

 「何をしてもすぐにもめ事に発展するのがあって、気持ちがついて行かない、美代子のすることに付き合いきれない状況だったと思います」

 -あなたの気持ちは。

 「優太郎の気持ちも分かるので、優太郎には理解してるという感じで接してましたが、美代子の気持ちも分かるので、寂しそうと同情してしまう気持ちもありました」

 -寂しそう。

 「私と2人きりの時は、そう見えました。美代子がどこかに出掛けようと言っても、他の人は『パチンコがある』と言って断るので、ベッドですねたりしてました。壁の方を向いて『もうええわ、パチンコばっか行って』とか小さい声でブチブチすねたように言う感じです」

 -それに対してあなたは?

 「機嫌を取ることも多かったんですけど、『私はお母さん(元被告)と一緒にいたいなあ』と言うけど、『あんたも出てって!』と怒られました」

 -家族はパチンコで外出していた。あなたは家で何をしていた?

 「留守を預かってました」

 -子守や家事もあって、忙しかったのでは?

 「子守は忙しかったです。(パチンコに行っているメンバーが)美代子に近寄らない代わりに、物を与えておけばいい、という感じで、1日に段ボール3~4箱分を持って帰ってきてて、私は『物があればいいんじゃないんだけどな』と思って、家事を必死になってこなすことで、そういうことを考えないようにしてました」

 -元被告と家に一緒にいる機会が増えて、あなたに気持ちの変化はあった?

 「初めは美代子がすごい高いところにいてて、認めてもらうことに必死になってたけど、子どもを産んで、角田の姓を名乗るようになってからは、何となく認められて、それまでは『(旧姓の)皆吉の人間』と怒られていたのが、『角田の人間として恥ずかしいことすんなよ』と言われるようになって、ちょっと立場が上がったようにも思えて、美代子のことをかわいそうだなという思いも持つようになりました」

【特集】尼崎連続変死事件公判

2015/11/25
 

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