連載・特集 連載・特集 プレミアムボックス

尼崎連続変死事件公判

  • 印刷

 尼崎連続変死事件で、角田美代子元被告=自殺時(64)=の義理の娘瑠衣被告(30)の裁判員裁判第18回公判が3日、神戸地裁で開かれた。2005年7月に沖縄の崖から転落死した角田久芳さん=死亡時(51)=に対する事件の審理で、被告人質問があった。

 検察側との主なやりとりは次の通り。

 -沖縄の万座毛の崖で、久芳さんはどうやって死ぬことになった?

 「記念撮影をしている時に、誤って足を滑らせて落ちてしまう、ということになっていました」

 -出発する時に段取りや打ち合わせはあった?

 「はい。美代子が一方的に声をかける感じで、『分かってんな?』『チャンスは1回しかないからな』『怪しまれんようにな』と言われました」

 -怪しまれないように、例えばどうすると?

 「私は、下見の時に、売店でハイビスカスの花飾りを買ってて、それが気に入ったからまた来た、そのついでにまた(万座毛を)回ってくる、ということにして、2回も来ることを怪しまれないように売店の人と話すようにと言われました」

 -万座毛に着いてからの行動は。

 「着いてからは言われた通りに、売店で話をして、観光客のような感じで写真を撮って回りました」

 -花飾りも買った?

 「はい、買いました」

◆        ◆

 弁護側との主なやりとりは次の通り。

 -万座毛の崖から飛び降りた久芳さんを実際に助けたのは誰?

 「(元被告の義理のいとこ李)正則(被告)が、沖の方のライフセーバーを大声で呼んで、駆け付けてくれて、下から『心肺停止』と叫んでくれたと思います」

 -人が目の前で転落して亡くなろうとしている。あなたの感情は。

 「とにかく、普通じゃない、日常じゃないことが起こってる、こういう時、どういうことをすればええんやろ。自分のせいでばれてしまったらアカンと思って、自分の態度が不自然じゃないか? と思ってました。泣いていた記憶もあって、泣いててええんかな? でも不自然ではないかな、とか混乱してました」

 -今思うとどうか。

 「全然、久芳さんのことを考えてなくて、最低だなと思います」

 -あなたは、久芳さんに対する事件の、中心メンバーという意識はある?

 「もちろん責任はあると思ってるんですが、当時の感覚としては、角田家がやってることについていってるという感覚がありました」

 -当時の認識として、久芳さんが死ぬことを強要されたと考えていた?

 「久芳さんが自分で自殺してくれたと考えてました」

 -理由は?

 「最後の方、潔く見えたというか、覚悟も決意も決まって、ぐちゅぐちゅしたのを乗り越えて、立派だなと思ったからです」

 -紆余(うよ)曲折があったけども、自分で決めたんだ、という認識?

 「はい」

 -久芳さんは家族に無視されるのが怖いから覚悟を決めたのでは、と述べていたが。

 「自分の住んでる世界が角田家しかないと思い込んだら、そこの人に無視されたらその世界では生きられないなと思いました。私は、家族に見捨てられるとか、死んでくれたら自分らのためになるのにと思われながら生きていくのはつらいし、家族のために恐怖を乗り越えられないのは情けないな、と。全部、私寄りの考えなんですけど…」

 -久芳さんが転落死の覚悟を決めたことに、元被告が泣いていたと。久芳さんも泣いていた?

 「久芳さんも泣いていました。久芳さんが何回も『姉ちゃん(元被告)遅くなってごめんな』と謝ってて、美代子が『分かったから』『今度は信じるから』と、感極まって涙しているという感じでした」

2015/12/3
 

天気(9月8日)

  • 33℃
  • 28℃
  • 40%

  • 33℃
  • 25℃
  • 50%

  • 34℃
  • 28℃
  • 20%

  • 34℃
  • 27℃
  • 40%

お知らせ