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尼崎連続変死事件公判

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 尼崎連続変死事件で、角田美代子元被告=自殺時(64)=の親族3人の裁判員裁判第16回公判が2日、神戸地裁であった。監禁や虐待の末、2008年に亡くなった仲島茉莉子さん=死亡時(26)=らの事件で、元被告の義妹三枝子被告(62)の被告人質問があった。

 弁護人との主なやりとりは次の通り。

 -美代子元被告のことを聞きます。元被告が茉莉子さんを物置に閉じ込め、亡くなった事件。茉莉子さんが当時どんな目に遭っていたのかは、この法廷でも(虐待の)いろんな話や写真が出た。元被告は何のためにそんなことをしていたのか。

 「美代子はこう…人の苦しんでる姿というか、人を苦しめるのが好きというか、そういうのでやってると(思っていた)」

 -茉莉子さんが暴力を振るわれて痛がったり、苦しんだりする姿を見て楽しんでいたと。

 「はい。虐待自体を楽しんでいるというか」

 -あなたも楽しんでいたのか。

 「いえ、それはないです」

 -茉莉子さんが亡くなった時、元被告は喜んでいたのか。

 「喜んでいたとか、そういう様子は感じなかった」

 -人を虐待して喜ぶ。元被告が幼い頃からそうだったのか。

 「学生の時は学校同士のけんかとか、男のところに行って暴力的なことしたとか、そういうことを聞いたことはあるんですが、苦しめてどうこうというのは子どもの頃はなかったと思います」

 -元被告は年を重ねるごとに人をいじめて楽しむという側面が出てきたのか。

 「一緒に住みだした頃は、そういうことはなかったように思うんですが…」

 -何かきっかけのような出来事があったのか。

 「いえ、特に思い当たらない」

 -残虐な場面が出てくる映画を好んでいたとか。

 「それもあんまり感じたことはない」

 -単に自分が人をいじめて楽しんでいた。

 「だと思います」

 -普通の家庭にはない異常なこと。あなたの生まれ育った家でもそんなことなかったでしょ。茉莉子さんが何カ月も物置に入れられていて、「ひどい」とか「むごすぎる」とか思わなかったのか。

 「今はそう思いますが、当時は思ってなかったです」

 -元被告に対して、あなたはどういう気持ちを持っていた。

 「美代子の、徹底してする、という怖さ…。怖さですね」

 -「まともじゃない」とか「異常だ」とは。

 「異常やいうのも感じてました」

 -あなたは「茉莉子さんを助けようと口を挟めば、余計に元被告の怒りが大きくなるのでできなかった」と言う。茉莉子さんが監禁されていた当時、「堪忍してあげてほしい」と思いながら、結局何もしなかった自分について当時はどう思っていたんですか。

 「当時は…自分のことをどう思っていたかは分からないです」

 -今はどうか。

 「自分は当時人間らしくなかったと思います」

 -「人間らしくない」とは。

 「普通そういう場面を見たらかわいそうにと思う。そういう優しさが出たら勇気も出てくるやろし、それが普通の人と思うんですけど、ひどい場面を見ても平気で生活していたというのが、浅い考えかも分からないですけど、人間らしくなかったと思います」

 -茉莉子さんが亡くなったのを知ったのはいつ。

 「多分(亡くなった)その日のうちに。美代子から『いらんシーツないか』と言われて、亡くなったんやと思いました」

 -亡くなったことについてどう思った。

 「それも最近考えたんですけど、どう思ったかというのが思い出せない」

 -自分の住んでるマンションで人が亡くなったんだから「悲しい」とか「かわいそう」とか、何か思ったことはないのか。

 「思い出せないんです」

 -もし、「悲しい」とか「かわいそう」とかいう感情を表に出したら。

 「美代子が怒ると思います。美代子が虐待していた茉莉子さんに対して情を見せたら、美代子は怒る」

 -当時はいろいろ感情があるけれど押さえつけて出さないようにしていたのか、それとも何も感じてなかったのか。

 「感じてなかったと思います。感情がなかったんじゃないかと思います」

 -元被告と暮らす中でずっとあなたはそうしてきた。

 「そうです」

 -現在、亡くなった茉莉子さんに対してどういう気持ちか。

 「当時は自分のことしか考えてなかった。本当に今は申し訳ないいう気持ちです」

2015/7/2
 

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