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 新たに24人の名前が刻まれた神戸・東遊園地の「慰霊と復興のモニュメント」。阪神・淡路大震災で最愛の子ども2人を亡くし、心が癒えぬまま相次いでこの世を去った夫婦の銘板を貼り付けた友人は20日、胸のつかえが取れたような表情を見せた。まもなく訪れる震災20年。「これでやっと家族がそろった。天国から笑い声が聞こえてくる気がする」

 大黒(だいこく)肇さん、妻信子さん、長女久美子さん、長男智志(さとし)君は、近所で評判の仲良し4人家族だった。あの日、激震で神戸市東灘区の自宅が全壊し、当時中学3年だった久美子さんと同1年の智志君が犠牲になった。

 夫婦の傷心ぶりは、はた目にも痛々しいほどだった。一家と親しくしていた藤瀬裕子さん(62)=同市東灘区=は、信子さんが「早く2人のそばに行きたい」と言うのを何度も聞いた。仏壇の前で泣き暮らす信子さんが心配で、そばで見守り続けた。

 信子さんは震災翌年に流産し、ますます自暴自棄に。体を壊し、医者に止められてもたばこを手放さず、自分を痛めつけるような生活を続けて2001年に逝った。家族から「ハッチ」と呼ばれていた肇さんは「本当に『みなしごハッチ』になってしまった」と抜け殻のようになり、4年前に死去した。

 モニュメントには久美子さんと智志君の名が既に刻まれている。「家族で同じ空間にいさせてあげたい」と藤瀬さんが友人を代表して銘板追加を決めた。肇さんと信子さんに加え、孫を溺愛していた肇さんの両親、病床の信子さんを支えながら病に倒れた信子さんの弟の名も共に刻んだ。

 雨が降りしきる中、式典に参列した藤瀬さんは「震災は大黒さん一家の生きる希望を全部持って行った」と唇をかむ。5人の銘板を貼り付け、「家族みんな一緒に、という願いがようやくかなった。天国で幸せに暮らしてほしい」と静かに祈りをささげた。

(黒川裕生)

2014/12/21

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