連載・特集 連載・特集 プレミアムボックス

記事特集

  • 印刷

 12日は成人の日。阪神・淡路大震災後の神戸の歩みとともに成長してきた子どもたちが今年の新成人だ。地震で兄を失った男性は、父を目標に同じ消防士の道を進み始めた。

 「どんな災害が起きても最前線で人を助けられるようになりたい」「兄の分まで精いっぱい、悔いのないよう生きる」

 阪神・淡路20年に向けて開設された神戸市広報課のサイトに、同市消防局垂水消防署に勤務する萩原裕介さんが寄せた誓いのメッセージだ。

 1994年12月生まれ。翌月の地震当日は母の実家にいて無事だったが、神戸市長田区にいた3歳の兄が、祖母とともに家の下敷きになって亡くなった。

 父は、当時も今も現役の消防士。兄について「注射でも泣かない我慢強い子だった」「裕介を抱いてかわいがっていた」と聞くが、20年前の具体的な行動や家族を失った思いを語ったことはない。

 一方で、今も月命日になると家族で墓参りに行く。兄の誕生日にはケーキを囲み、ハッピーバースデーを歌う。記憶になくても、兄が家族の営みに、ごく自然に息づいているように感じる。

 つらくても弱音を吐かず、小学5年でサッカーを始めたときも、高校進学のときも思い通りにさせてくれた父。同じ消防士の道を選んだのも、あこがれが大きな動機だったという。

 メッセージ掲載に当たり、広報課から父も取材依頼を受けたが断ったという。そんな背景もあり、兄や父の名前を出さず、一人の新成人として震災への受け止めや将来の夢を語った萩原さん。「人の命と向き合う消防士になって、家族を失う重みを実感した。震災への父の思いは、自分から話してくれるまで待とうと思っています」と話す。(小川 晶)

◇   ◇   ◇

 神戸市は12日から広報課特設サイトに、萩原裕介さんら神戸市在住の新成人とその家族12人のメッセージを掲載する。

 震災に対するさまざまな人の思いを紹介しようと、昨秋開設した「震災20年 神戸からのメッセージ発信」(http://1995kobe20th.jp/)。

 新成人は、萩原さんのほか、地震の語り部の話を発信するプロジェクトを始めた迫田和仁さん▽地震翌日に生まれた田中大地さん▽母の思いを胸にアジアに目を向ける宋順花さん▽被災地などでボランティアを続ける藤本将史さん▽生まれ育った神戸への愛着を語る内山智帆さん-の5人。

2015/1/11

天気(6月5日)

  • 28℃
  • ---℃
  • 30%

  • 32℃
  • ---℃
  • 30%

  • 31℃
  • ---℃
  • 20%

  • 33℃
  • ---℃
  • 30%

お知らせ