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 災害時、被災者に生活再建の資金を貸し付ける国の支援制度「災害援護資金」で、全国各地で返済が滞り、40年前の災害でも1億円以上の未返済が残っていることが分かった。間もなく発生20年となる阪神・淡路大震災では、9月末現在で約155億円が未返済。返済が焦げ付けば市町村の財政負担となるため、専門家は「南海トラフ地震など巨大災害に対応できない」と制度の限界を指摘している。

 1973年に災害援護資金の制度が始まって2年後、高知市では水害に見舞われた。75、76、78年に貸し付けた分の未返済は2013年度末で約1億6千万円。同市の担当者は「被災者の完済は見通せない」といい、「高知は水害が多く負担は重い」と訴える。

 今年で発生10年となった新潟県中越地震では本年度末から順次、返済期限を迎える。貸し付けが最も多い魚沼市では13年度末時点で12件625万円の返済が滞り、「破産状態で取り立てができないケースもある」とする。

 返済期限の10年がすぎれば、未返済分は、被災市町村が肩代わりして国などに返済する。その後も市町村は回収を続けるが、生活再建できない被災者からの取り立ては難しい。

 阪神・淡路では、兵庫県内で5万6422件、計約1308億7千万円が貸し付けられた。9月末現在、未返済は計約155億4千万円で、借り主の破産や行方不明、保証人と接触できないなど返済が不可能、困難な金額は約35億円に上る。ただ、額が大きいため、特例で市の肩代わりの期限延長が繰り返されている。

 研究者や被災自治体から貸し付け制度の運用について疑問の声も上がっているが、内閣府は「未返済は貸した市町村の責任もある。大きな災害では特例も考えなければいけないが、制度自体を変える必要はない」とする。

 東日本大震災の被災地では、返済期限から10年たっても、借り主が「無資力状態」の場合は免除となる特例措置が設けられた。兵庫県や各市は国に対し、同様の取り扱いにするよう要望している。(高田康夫)

 【災害援護資金】 災害弔慰金法に基づき、全半壊世帯などに150万~350万円を貸す制度。国が3分の2、都道府県や政令市が残りを負担し、市町村が貸し付ける。返済期限の10年が過ぎれば、市町村が肩代わりして国や都道府県に返済する。

〈自治体のリスク過大 阪神・淡路大震災の経済的影響を研究する地主敏樹・神戸大経済学部教授の話〉 被災者支援で比較的所得の低い層向けの貸し付けにもかかわらず、不良債権の発生コストが無視され、地方自治体が過大なリスクを担っている。この制度では巨大災害に対応できない。災害後に特例や新たな支援制度を作れば、以前の災害との不公平も生まれる。災害規模や特徴に応じて柔軟に対応できるよう、貸し付けと給付を組み合わせた総合的な公的支援プログラムを作るべきだ。

2014/12/23

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