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山口組分裂騒動

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山口組総本部に入った兵庫県警の捜査員ら。他府県警による捜索も8月末の分裂以降相次いでいる=11月12日、神戸市灘区篠原本町4
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山口組総本部に入った兵庫県警の捜査員ら。他府県警による捜索も8月末の分裂以降相次いでいる=11月12日、神戸市灘区篠原本町4

 「野放しに等しい」

 暴力団追放運動に長年関わってきた垣添誠雄(もとお)弁護士(74)=兵庫県弁護士会=が憤る。

 指定暴力団「山口組」からの離脱で、神戸山口組は暴力団対策法上の「指定暴力団」でなくなり、規制の網からこぼれた。その意味は決して軽くない。

 「また電話する。よう考えといて」。昨年12月、山口組系組員(当時)が「付き合い」と称して明石市の複数の飲食店にえとの置物の購入を繰り返し迫った。

 県公安委員会は今年7月、暴対法上の「暴力的要求行為」にあたるとして店への連絡などを禁じる命令を出した。だが「同じことをしても今なら命令を出せない」と捜査員が明かす。理由は、この組員の所属団体が神戸山口組に移ったためだ。

    ◆ ◆

 未指定状態は、抗争が起きたときの対応にも大きな影を落とす。

 抗争が指定暴力団同士の場合、暴対法に基づき、双方の組事務所使用を制限できる。ところが現在は片方の神戸山口組が未指定のため、指定暴力団の山口組さえも規制の対象外になってしまう。

 指定には「暴力団特有の犯罪歴がある組員が一定割合以上含まれる」などの要件を裏付ける必要がある。組員一人一人の所属団体や犯罪歴などの把握が求められ、指定作業の長期化は必至だ。

 「分裂した団体の指定要件を緩和すべきだ。そもそも暴力団の存在自体を認めない法制度がいる」と垣添弁護士。国内最大組織で起きた深刻な事態に、警察庁も暴対法改正の検討を始めた。

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 山口組が分裂した今年8月末以降、兵庫県警など全国の警察は関連施設延べ100カ所以上を捜索した。神戸山口組の中核組織「山健組」(神戸市中央区)には10回を数え、山口組総本部も7回以上となった。対立の激化を抑え、両組織の実態を解明する狙いも強い。

 「一日も早く」と捜査幹部は指定に向けた作業を急ぐ。だが、その思惑を阻むように双方の勢力争いは続き、情勢が揺れる。“野放し”状態は4カ月になろうとしている。

2015/12/21

【山口組の分裂】

 2015年8月27日、全国最大規模の指定暴力団山口組(総本部・神戸市灘区)から、直系13団体が離脱し、「神戸山口組」を結成した。「山健組」(神戸市中央区)の井上邦雄組長がトップに就き、淡路市にある直系団体「俠友会」事務所を本拠地とした。

 分裂の背景には、篠田建市(通称・司忍)組長の出身母体「弘道会」(名古屋市)を優遇する組織運営や、高額な上納金制度などへの反発があったとされる。

 双方の衝突が相次ぎ、警察庁は16年3月に「対立抗争状態」と認定。兵庫県公安委員会は同年4月に神戸山口組を暴力団対策法に基づく「指定暴力団」とした。同年末の構成員数は山口組約5200人、神戸山口組約2600人だった。

 一方、神戸山口組では17年4月に一部組長らが離脱して「任俠団体山口組」(後に「任侠山口組」に改称)の結成を表明した。対立は三つどもえの構図となったが、警察庁は「神戸山口組の内紛」との見方を示しており、構成員数は不明。

 山口組と神戸山口組が分裂してから約2年間で、双方の衝突は約100件発生。神戸山口組と任侠山口組の間でも2件の傷害事件などがあったほか、17年9月12日には、神戸市長田区にある、任侠山���組・織田絆誠代表の自宅付近で、代表らが乗った車を神戸山口組の組員が襲撃。降りてきた任侠側の組員を射殺する事件が起きた。

 兵庫県警は17年5月、全部署から構成する「歓楽街緊急対策本部」を設け、その実働部隊として歓楽街特別暴力団対策隊(特暴隊)を発足させた。「みかじめ料」名目で飲食店などから金を脅し取っていたとして組員を逮捕するなど資金源の遮断にも乗り出している。

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