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山口組分裂騒動

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使用差し止めの仮処分が決定した暴力団事務所=神戸市中央区熊内町9
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使用差し止めの仮処分が決定した暴力団事務所=神戸市中央区熊内町9

 JR新神戸駅近くにある特定抗争指定暴力団山口組の拠点事務所(神戸市中央区)について、神戸地裁は15日までに、組員らの使用を差し止める仮処分を決定した。地域住民らの委託を受け、昨年10月に仮処分を申し立てた暴力団追放兵庫県民センターが発表した。決定は14日付。

 事務所では2019年8月、山口組の中核組織「弘道会」(名古屋市)の組員が単車で乗り付けた人物に拳銃で銃撃され、重傷を負う事件が発生。兵庫県警暴力団対策課は実行役として、当時は特定抗争指定暴力団神戸山口組の中核組織だった「山健組」(神戸市中央区)の組長を逮捕した。

 同センターの代理人弁護団によると、事務所は主に弘道会の神戸拠点として使用され、所有者には弘道会の組長が登記されている。

 周辺は小中学校の通学路にもなっているため、抗争に危機感を募らせた近隣住民が県警に相談。暴力団対策法に基づき、住民ら約40人の委託を受けた同センターが代理訴訟を起こした。弘道会側は反論の答弁書を提出したが、認められなかったという。

 今回の決定で、組員の立ち入りや会合の開催、看板の掲示などが禁止される。組事務所の使用差し止め申し立ては県内で8件行われており、仮処分決定は7件目(1件は和解)となった。

2023/2/15
 

【山口組の分裂】

 2015年8月27日、全国最大規模の指定暴力団山口組(総本部・神戸市灘区)から、直系13団体が離脱し、「神戸山口組」を結成した。「山健組」(神戸市中央区)の井上邦雄組長がトップに就き、淡路市にある直系団体「俠友会」事務所を本拠地とした。

 分裂の背景には、篠田建市(通称・司忍)組長の出身母体「弘道会」(名古屋市)を優遇する組織運営や、高額な上納金制度などへの反発があったとされる。

 双方の衝突が相次ぎ、警察庁は16年3月に「対立抗争状態」と認定。兵庫県公安委員会は同年4月に神戸山口組を暴力団対策法に基づく「指定暴力団」とした。同年末の構成員数は山口組約5200人、神戸山口組約2600人だった。

 一方、神戸山口組では17年4月に一部組長らが離脱して「任俠団体山口組」(後に「任侠山口組」に改称)の結成を表明した。対立は三つどもえの構図となったが、警察庁は「神戸山口組の内紛」との見方を示しており、構成員数は不明。

 山口組と神戸山口組が分裂してから約2年間で、双方の衝突は約100件発生。神戸山口組と任侠山口組の間でも2件の傷害事件などがあったほか、17年9月12日には、神戸市長田区にある、任侠山口組・織田絆誠代表の自宅付近で、代表らが乗った車を神戸山口組の組員が襲撃。降りてきた任侠側の組員を射殺する事件が起きた。

 兵庫県警は17年5月、全部署から構成する「歓楽街緊急対策本部」を設け、その実働部隊として歓楽街特別暴力団対策隊(特暴隊)を発足させた。「みかじめ料」名目で飲食店などから金を脅し取っていたとして組員を逮捕するなど資金源の遮断にも乗り出している。

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