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山口組分裂騒動

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 神戸市長田区で暴力団「任侠(にんきょう)山口組」の組員が射殺された事件は19日で発生から1週間を迎える。兵庫県警長田署捜査本部は、殺人容疑で指名手配した指定暴力団神戸山口組の組員菱川龍己容疑者(41)と、現場付近の防犯カメラが捉えた男の行方を追いつつ、他にも数人が関与したとみて捜査。神戸山口組のグループが任侠山口組の織田絆誠(よしのり)代表(50)を計画的に襲おうとしたとの見方を強め、全容解明に総力を挙げる。

■関与は何人?

 事件が起きたのは、織田代表らの乗った3台が路地から連なって幹線道路に出ようとした一瞬だった。同本部などによると、前方から菱川容疑者が車をぶつけて襲いかかり、もう1人が車列後方に現れ、代表の車は一時、逃げ場を失った状況になったという。

 襲撃前、西側で待つしかない菱川容疑者は建物が邪魔して路地は見えない。もう1人の男も建物の外階段2階に上がる様子が映像に残っていたが、路地沿いに塀が連なり、車列の進み具合は確認できない。

 現場を調べた捜査員も「タイミングを見計らって2人に合図をした人物がいるのではないか」と語る。

 1997年の指定暴力団山口組最高幹部射殺事件で県警は19人を逮捕、2007年の同組傘下組長刺殺事件では7人を逮捕。別の捜査員は「事件を重ねながら暴力団側もこちらの捜査手法を研究している。証拠の隠し方や逃亡方法も巧妙化している可能性がある」と警戒する。

■続く挑発行為

 「冥福を祈りまして、黙とう」。事件3日後の15日午後、織田代表ら任侠山口組の幹部約30人が事件現場に現れ、報道陣の前で献花した。「襲撃されても強気のポーズを見せることで、神戸山口組を挑発するのが狙いではないか」と別の捜査員は指摘する。

 事件の引き金の一つとみられるのは8月27日、任侠山口組の幹部らが尼崎市内で開いた記者会見だ。4月に神戸山口組から離脱を表明して以降、2度目となる。

 神戸山口組の井上邦雄組長(69)の組織運営を批判し、15年8月の山口組分裂を「(井上組長らの)詐欺事件」と指摘。さらに神戸山口組の使途不明金などを暴露するとの声明を発表していた。

 両団体が対立する中、山口組は目立った動きを見せていないが、今後、一方に加担すれば事態はさらに混乱しかねない。

■全法令を駆使

 捜査関係者らによると、事件前の9月8日に神戸山口組が淡路市で開いた定例会で、任侠山口側の会見は全く話題に上らなかったという。事件の共謀関係を問われないよう事前に秘密の保持が徹底されたとの推測も広がる。

 16年に手続きが簡略化された通信傍受や、今年7月に新設されたテロ等準備罪(共謀罪)、近く実施予定の司法取引など、捜査権は近年拡大するが、暴力団側も警戒を強めているとみられる。

 暴力団排除活動に詳しい垣添誠雄(もとお)弁護士(尼崎市)は「市民を危険にさらす抗争事件を未然に食い止めるため、事件を準備した段階で摘発できる『テロ等準備罪』の適用も検討するべきだ」と指摘。県警幹部は「現時点では何も言えないが、状況に応じて検討する。あらゆる法令を駆使して臨む」としている。

 【神戸市長田区組員射殺事件】 12日午前10時ごろ、神戸市長田区五番町3で暴力団「任侠山口組」の織田絆誠代表らを乗せた車列の先頭が襲われ、代表の警護役だった楠本勇浩(ゆうひろ)組員(44)が射殺された。兵庫県警長田署捜査本部は16日、殺人容疑で指定暴力団神戸山口組の組員菱川龍己容疑者(41)を指名手配した。

2017/9/19

【山口組の分裂】

 2015年8月27日、全国最大規模の指定暴力団山口組(総本部・神戸市灘区)から、直系13団体が離脱し、「神戸山口組」を結成した。「山健組」(神戸市中央区)の井上邦雄組長がトップに就き、淡路市にある直系団体「俠友会」事務所を本拠地とした。

 分裂の背景には、篠田建市(通称・司忍)組長の出身母体「弘道会」(名古屋市)を優遇する組織運営や、高額な上納金制度などへの反発があったとされる。

 双方の衝突が相次ぎ、警察庁は16年3月に「対立抗争状態」と認定。兵庫県公安委員会は同年4月に神戸山口組を暴力団対策法に基づく「指定暴力団」とした。同年末の構成員数は山口組約5200人、神戸山口組約2600人だった。

 一方、神戸山口組では17年4月に一部組長らが離脱して「任俠団体山口組」(後に「任侠山口組」に改称)の結成を表明した。対立は三つどもえの構図となったが、警察庁は「神戸山口組の内紛」との見方を示しており、構成員数は不明。

 山口組と神戸山口組が分裂してから約2年間で、双方の衝突は約100件発生。神戸山口組と任侠山口組の間でも2件の傷害事件などがあったほか、17年9月12日には、神戸市長田区にある、任侠山���組・織田絆誠代表の自宅付近で、代表らが乗った車を神戸山口組の組員が襲撃。降りてきた任侠側の組員を射殺する事件が起きた。

 兵庫県警は17年5月、全部署から構成する「歓楽街緊急対策本部」を設け、その実働部隊として歓楽街特別暴力団対策隊(特暴隊)を発足させた。「みかじめ料」名目で飲食店などから金を脅し取っていたとして組員を逮捕するなど資金源の遮断にも乗り出している。

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