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山口組分裂騒動

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白昼の路上で発砲事件があった尼崎市の現場。神戸山口組系組長ら2人が撃たれ、重傷を負った=2020年11月3日、同市稲葉元町2
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白昼の路上で発砲事件があった尼崎市の現場。神戸山口組系組長ら2人が撃たれ、重傷を負った=2020年11月3日、同市稲葉元町2
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 対立を続ける日本最大の暴力団山口組(神戸市灘区)と、分裂した神戸山口組(同市中央区)双方が、暴力団対策法に基づく「特定抗争指定暴力団」に指定されてから7日で丸1年となる。兵庫県内では「警戒区域」に神戸、尼崎、姫路、淡路、南あわじ市の5市が指定され、組員の活動が規制されて以降も事件は絶えない。山口組に対して勢力がより縮小した神戸山口組だが、対決姿勢を崩しておらず、抗争終結の道筋は見えないままだ。

 2015年8月に分裂した山口組と神戸山口組の抗争で19年、兵庫を中心に銃器を用いた殺人、殺人未遂事件が立て続けに発生。市民に危険が及ぶ恐れから、翌20年1月、兵庫を含む6府県の公安委員会が両組織を特定抗争指定暴力団にした。組員は、「警戒区域」となった市町で組事務所への立ち入り▽対立組織の組員への付きまとい▽組員5人以上の集合-などが禁じられ、違反すれば警察が逮捕できる。

 しかし事件はやまず、20年は岡山、山口県で拳銃を使った銃撃事件が続いた。11月3日の白昼には、警戒区域の尼崎市の路上で神戸山口組系組長ら2人が撃たれ、兵庫県警が山口組系組員2人を殺人未遂容疑で逮捕。警戒区域内での抗争事件は過去に例がなく、捜査関係者に衝撃を与えた。

 さらに約2週間後、再び尼崎市で山口組の関係先とみられる民家に発砲があった。捜査関係者によると、同月3日の事件に対する報復の可能性があるという。12月上旬にも岡山県内で、今度は神戸山口組系事務所への発砲事件が起きた。

 警戒区域は増加の一途をたどる。当初は6府県10市だったが、20年12月末時点で10府県18市町にまで拡大。規制の網の広がり自体が、抗争封じ込めに至らない現状を物語る。また両組織の神戸市内の本部事務所は使用を禁止されたが、捜査関係者によると、ともに拠点を区域外に移し、飲食店で会合を開くなどして規制をかいくぐっている。

 事件が繰り返される中、組員の離脱や山口組への移籍が絶えない神戸山口組は相対的に弱体化。関係者によると、山口組が「20年中の抗争終結を目指す」との情報もあった。兵庫県警の捜査幹部は、山口組組長やナンバー2が高齢になり、「代替わりまでに抗争を決着させたい思いがあるのではないか」とみている。

 一方でこの捜査幹部は「神戸山口組が山口組と同じ代紋(組の紋章)を掲げる限り、抗争の終結はありえない。ともに勢力範囲は全国に及び、どこが事件現場になってもおかしくない」とも話し、県警は、事件が続発する尼崎市を中心に警戒を強めている。

■全国に勢力封じ込め困難

 特定抗争指定暴力団の制度は2012年、福岡県を拠点とする道仁会と旧・九州誠道会(現・浪川会)の抗争で初めて適用され、警戒区域内で事件が一件も起きずに抗争は終結した。沈静化した九州と、山口組分裂から始まった抗争との違いは何か。捜査関係者は山口組と神戸山口組の広域性を指摘する。

 福岡の二つの暴力団は12年12月、福岡県など九州4県の公安委が指定。抗争が収束し、約1年半後の14年6月に指定が解除された。双方の勢力は九州にほぼ集中していたとされる。

 これに対し、警察庁によると20年4月の時点で、山口組の勢力範囲は全国の暴力団で最多の43都道府県で、対する神戸山口組も山口組に次ぐ32都道府県に及んでいた。

 実際、兵庫県内で19年以降に山口組が関与したとみられる抗争事件で、実行役とされる組員の居住地は大阪府や愛知、三重、鹿児島県と大半が兵庫県外だった。捜査員は広域暴力団であるために「組員の動きの予測が困難」とする。

 一方、暴力団排除運動に詳しい垣添誠雄弁護士は「組員の行動を規制するだけでなく、抗争自体を禁じる法律が必要だ」と訴える。尼崎市でも19年11月と20年11月に計3件の発砲事件が起き、同市が関係法令の改正などを求める要望書を県警に出した。

2021/1/6

【山口組の分裂】

 2015年8月27日、全国最大規模の指定暴力団山口組(総本部・神戸市灘区)から、直系13団体が離脱し、「神戸山口組」を結成した。「山健組」(神戸市中央区)の井上邦雄組長がトップに就き、淡路市にある直系団体「俠友会」事務所を本拠地とした。

 分裂の背景には、篠田建市(通称・司忍)組長の出身母体「弘道会」(名古屋市)を優遇する組織運営や、高額な上納金制度などへの反発があったとされる。

 双方の衝突が相次ぎ、警察庁は16年3月に「対立抗争状態」と認定。兵庫県公安委員会は同年4月に神戸山口組を暴力団対策法に基づく「指定暴力団」とした。同年末の構成員数は山口組約5200人、神戸山口組約2600人だった。

 一方、神戸山口組では17年4月に一部組長らが離脱して「任俠団体山口組」(後に「任侠山口組」に改称)の結成を表明した。対立は三つどもえの構図となったが、警察庁は「神戸山口組の内紛」との見方を���しており、構成員数は不明。

 山口組と神戸山口組が分裂してから約2年間で、双方の衝突は約100件発生。神戸山口組と任侠山口組の間でも2件の傷害事件などがあったほか、17年9月12日には、神戸市長田区にある、任侠山口組・織田絆誠代表の自宅付近で、代表らが乗った車を神戸山口組の組員が襲撃。降りてきた任侠側の組員を射殺する事件が起きた。

 兵庫県警は17年5月、全部署から構成する「歓楽街緊急対策本部」を設け、その実働部隊として歓楽街特別暴力団対策隊(特暴隊)を発足させた。「みかじめ料」名目で飲食店などから金を脅し取っていたとして組員を逮捕するなど資金源の遮断にも乗り出している。

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