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山口組分裂騒動

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 兵庫県警が県暴力団排除条例(暴排条例)の改正に乗り出す背景には、特定抗争指定暴力団山口組(総本部・神戸市灘区)によるハロウィーン行事に加え、組員と親交を持った未成年による凶悪事件の発生がある。「組員が怖くて逆らえなかった」。今年3月、京都府内で男性の遺体が見つかった殺人、死体遺棄事件で、組員とともに逮捕された少年は調べにこう供述したという。

 暴力団と青少年の接点では近年、山口組のハロウィーン行事が注目を集めてきた。抗争激化前の2018年秋には、約千人もの家族連れなどが総本部で組員から菓子を受け取った。

 こうした暴力団の動きは住民懐柔策の一環とみられ、捜査員は「子どもが組員に親しみを覚え、将来、組に加入したり犯罪に巻き込まれたりする危険性が高まる」と懸念してきた。

 県警内部で暴排条例改正に向けた議論が始まったのは昨年秋ごろ。その矢先、捜査員たちの懸念が現実のものとなる事件が起きた。

 昨年11月末、同県加古川市内で車が燃やされる事件が発生。持ち主の男性は殺害され、今年3月、京都府内の山中で遺体が見つかった。一連の事件では、中心人物の特定抗争指定暴力団神戸山口組系の組員が殺人容疑などで逮捕されたほか、9人の少年が逮捕された。

 捜査関係者によると、一部の少年は知人を介して組員と知り合い、事務所に呼ばれたり、食事をおごられたりするようになったという。親しくなるにつれ、組員に逆らえない雰囲気ができていったとみられる。

 神戸家裁姫路支部は、逮捕された少年たちの処遇を決定する際、少年たちが事件に関与した背景に、組員への恐怖や絶対的な上下関係があったと指摘した。

 事件を受け県警は条例改正案の準備を加速。このほどまとめた素案では、組員の青少年への働き掛けを規制するだけでなく、暴力団排除の意識向上のため、保護者や教育機関の努力義務なども明記した。ある県警幹部は「子どもだけでなく、保護者にも暴力団の怖さを正しく理解してもらう必要がある」とする。

2020/7/10

【山口組の分裂】

 2015年8月27日、全国最大規模の指定暴力団山口組(総本部・神戸市灘区)から、直系13団体が離脱し、「神戸山口組」を結成した。「山健組」(神戸市中央区)の井上邦雄組長がトップに就き、淡路市にある直系団体「俠友会」事務所を本拠地とした。

 分裂の背景には、篠田建市(通称・司忍)組長の出身母体「弘道会」(名古屋市)を優遇する組織運営や、高額な上納金制度などへの反発があったとされる。

 双方の衝突が相次ぎ、警察庁は16年3月に「対立抗争状態」と認定。兵庫県公安委員会は同年4月に神戸山口組を暴力団対策法に基づく「指定暴力団」とした。同年末の構成員数は山口組約5200人、神戸山口組約2600人だった。

 一方、神戸山口組では17年4月に一部組長らが離脱して「任俠団体山口組」(後に「任侠山口組」に改称)の結成を表明した。対立は三つどもえの構図となったが、警察庁は「神戸山口組の内紛」との見方を示しており、構成員数は不明。

 山口組と神戸山口組が分裂してから約2年間で、双方の衝突は約100件発生。神戸山口組と任侠山口組の間でも2件の傷害事件などがあったほか、17年9月12日には、神戸市長田区にある、任侠山���組・織田絆誠代表の自宅付近で、代表らが乗った車を神戸山口組の組員が襲撃。降りてきた任侠側の組員を射殺する事件が起きた。

 兵庫県警は17年5月、全部署から構成する「歓楽街緊急対策本部」を設け、その実働部隊として歓楽街特別暴力団対策隊(特暴隊)を発足させた。「みかじめ料」名目で飲食店などから金を脅し取っていたとして組員を逮捕するなど資金源の遮断にも乗り出している。

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