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山口組分裂騒動

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神戸地裁=神戸市中央区橘通2
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神戸地裁=神戸市中央区橘通2

 兵庫県尼崎市の路上で2019年11月、特定抗争指定暴力団神戸山口組の男性幹部が射殺された事件で、殺人や銃刀法違反などの罪に問われた特定抗争指定暴力団山口組の元組員の男(53)=愛知県江南市=の初公判が8日、神戸地裁(小倉哲浩裁判長)であった。男は起訴内容を認め、量刑が争点に。検察側が無期懲役を求刑したのに対して弁護側は有期刑を求め、同日、結審した。判決は19日。

■自動小銃使った殺人事件で公判は厳戒

 暴力団の絡む事件のため、地裁はこの事件を裁判員裁判の対象から除外。開廷前には、傍聴人や記者たちに対して厳重な身体検査が実施され、証言台と傍聴席の間に透明の防弾パネルも設けられた。

 午後1時半、丸刈りにオレンジ色のダウンジャケット姿の男が入廷。時折、メガネやマスクの位置を直しながら検察官の起訴状朗読などを聞いた。裁判長に認否を問われると「間違いありません」と答えた。

 起訴状によると、男は19年11月27日午後5時すぎ、尼崎市神田南通1の路上で、神戸山口組の男性幹部=当時(59)=に自動小銃で弾丸15発を撃ち、死亡させたとされる。さらにその後、神戸山口組の別の組員を殺害するため、自動小銃1丁と拳銃1丁、銃弾39発を所持し、京都市南区まで車で向かったなどとされる。

■詳しい状況明らかに

 被告人質問では男本人の口から発砲時の状況が語られた。

 男は当時、店内で拳銃を発砲しようとしたが、他の客がいたため断念。店外に呼び出した被害者に対し、背後から頭に向けて拳銃の引き金を5回引いたが、弾が出なかったため、車から自動小銃を取り出して発射したという。

 検察側が提出した証拠によると、事件後の現場には空の薬きょう15個と弾頭付きの銃弾13個が落ちていたという。

 検察官は、自動小銃による発砲が「あおむけに倒れた被害者がぴくりとも動かなくなっても続き、恐怖を感じた」とする目撃者の供述調書も読み上げた。

 銃撃後、男は尼崎市の現場から京都に向かい、途中で警戒中の京都府警の警察官たちに身柄を確保されたとされる。

■山口組の組織的関与は?

 公判では山口組の組織的な関与を巡り、検察側と弁護側で主張が分かれた。

 弁護側は「被告が単独で準備、計画した」「動機は(山口組と対立する)神戸山口組が許せないという個人的な思い」と山口組の関与を否定した。

 男も被告人質問で動機について「有名になりたかった」「おとこになって死にたかった」などと証言。「インパクトのあるものを使おう」と凶器に自動小銃を選んだといい、拳銃と合わせ「350万円で買った」と語った。入手の方法や時期は「言えない」を繰り返した。

 一方、検察側は事件の背景に、2015年の山口組分裂に始まる同組と神戸山口組の対立抗争があると指摘。「被告が被害者に個人的な殺意を抱く理由はなく、単に神戸山口組の幹部だからというだけで狙った」「個人的な犯行とは到底認められない」などと訴えた。

 山口組の組織的な関与にも言及し、「本人以外から指示は明らかになっていないものの、山口組関係者による何かしらの指示や支援が強く疑われる」とした。

■争点は量刑

 論告で検察側は「強固な殺意に基づく、冷酷かつ残忍な犯行」と主張。社会に恐怖を与え、更生の可能性が低いなどとして無期懲役を求刑した。

 弁護側は、動機は個人的として有期刑を求めた。

 最後に裁判長から「何か言いたいことは」と問われた男は「ありません」と短く回答。結審後、傍聴席にいたかつての所属先の暴力団関係者らに向かって小さく一礼するようなしぐさを見せ、退廷した。

2021/2/8

【山口組の分裂】

 2015年8月27日、全国最大規模の指定暴力団山口組(総本部・神戸市灘区)から、直系13団体が離脱し、「神戸山口組」を結成した。「山健組」(神戸市中央区)の井上邦雄組長がトップに就き、淡路市にある直系団体「俠友会」事務所を本拠地とした。

 分裂の背景には、篠田建市(通称・司忍)組長の出身母体「弘道会」(名古屋市)を優遇する組織運営や、高額な上納金制度などへの反発があったとされる。

 双方の衝突が相次ぎ、警察庁は16年3月に「対立抗争状態」と認定。兵庫県公安委員会は同年4月に神戸山口組を暴力団対策法に基づく「指定暴力団」とした。同年末の構成員数は山口組約5200人、神戸山口組約2600人だった。

 一方、神戸山口組では17年4月に一部組長らが離脱して「任俠団体山口組」(後に「任侠山口組」に改称)の結成を表明した。対立は三つどもえの構図となったが、警察庁は「神戸山口組の内紛」との見方を���しており、構成員数は不明。

 山口組と神戸山口組が分裂してから約2年間で、双方の衝突は約100件発生。神戸山口組と任侠山口組の間でも2件の傷害事件などがあったほか、17年9月12日には、神戸市長田区にある、任侠山口組・織田絆誠代表の自宅付近で、代表らが乗った車を神戸山口組の組員が襲撃。降りてきた任侠側の組員を射殺する事件が起きた。

 兵庫県警は17年5月、全部署から構成する「歓楽街緊急対策本部」を設け、その実働部隊として歓楽街特別暴力団対策隊(特暴隊)を発足させた。「みかじめ料」名目で飲食店などから金を脅し取っていたとして組員を逮捕するなど資金源の遮断にも乗り出している。

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