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山口組分裂騒動

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神戸山口組が指定暴力団となって以降、初めて本拠地の〓(4FE0)友会事務所を捜索した兵庫県警の捜査員=5月13日、淡路市志筑
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神戸山口組が指定暴力団となって以降、初めて本拠地の〓(4FE0)友会事務所を捜索した兵庫県警の捜査員=5月13日、淡路市志筑

 指定暴力団山口組(総本部・神戸市灘区)から分裂した神戸山口組(本拠地・淡路市)が、暴力団対策法に基づく指定暴力団となって1カ月が過ぎた。指定以降、今月12日までに両団体の衝突は全国で1件しかなく、歯止めがかかった格好だ。ただ、今月26、27日の伊勢志摩サミットを前にした「一時的な休戦」との見方もあり、兵庫県警は警戒を緩めていない。

 両団体は昨年8月末の分裂以降、全国で約70件の衝突を繰り返し、3月には神戸市内でも組事務所へのダンプカー突入など4件の事件が発生。しかし、神戸側が指定された先月15日以降は北海道の1件を除き、ぴたりとやんでいる。

 「やはり『特定抗争指定』への道が開けたことが大きい」。県警幹部は沈静化の背景をこう分析する。神戸側を指定したことで、抗争が激化すればより厳しく取り締まれる「特定抗争指定暴力団」とすることが可能になったからだ。

 特定指定をすれば、縄張りなどを基に定めた警戒区域内でおおむね5人以上の組員が集まるだけで逮捕でき、暴力団の活動は大幅に封じ込められる。

 捜査関係者によると、神戸側は3月、特定指定の経験がある指定暴力団幹部を神戸市内に招き“勉強会”を実施。山口組も4月の定例会で直系組長らに規制内容を周知したとされ、特定指定を避ける動きをみせる。

 一方、サミットという国際的な会合を前に、両団体とも傘下組織に「騒ぎを起こすな」と指示を出したとの情報もあるが、県警幹部は「『やられたらやり返す』のが暴力団。ささいなトラブルから一気に抗争が激化する恐れはある」と気を引き締める。

    ◆

 神戸側の指定は分裂後約8カ月で実現し、過去の分裂団体の例に比べて「異例の早さ」と評された。

 とはいえこの間、神戸側は暴対法に基づく規制の網から外れた。例えば、店舗経営者に「あいさつ料」を求めるなどの不当要求行為。指定暴力団の組員が絡んだ場合は中止命令を出せるが、単なる暴力団員なら規制対象から漏れる。

 暴対法施行の1992年から2015年の24年間に、県警が山口組系組員に出した中止命令は2265件。分裂前の14年は61件だったが、15年は34件にまで減った。

 暴力団追放運動に詳しい垣添誠雄(もとお)弁護士(74)=兵庫県弁護士会=は「分裂団体は指定暴力団とみなすなど、指定手続きの在り方を改善すべきだ」とし、特定指定についても見直しを注文。現行の暴対法では「指定暴力団同士が凶器を使った抗争を繰り広げる」ことなどが要件とされるため、神戸側の指定前に起きた約70件の衝突は考慮されず、改正が必要と訴える。

2016/5/18

【山口組の分裂】

 2015年8月27日、全国最大規模の指定暴力団山口組(総本部・神戸市灘区)から、直系13団体が離脱し、「神戸山口組」を結成した。「山健組」(神戸市中央区)の井上邦雄組長がトップに就き、淡路市にある直系団体「俠友会」事務所を本拠地とした。

 分裂の背景には、篠田建市(通称・司忍)組長の出身母体「弘道会」(名古屋市)を優遇する組織運営や、高額な上納金制度などへの反発があったとされる。

 双方の衝突が相次ぎ、警察庁は16年3月に「対立抗争状態」と認定。兵庫県公安委員会は同年4月に神戸山口組を暴力団対策法に基づく「指定暴力団」とした。同年末の構成員数は山口組約5200人、神戸山口組約2600人だった。

 一方、神戸山口組では17年4月に一部組長らが離脱して「任俠団体山口組」(後に「任侠山口組」に改称)の結成を表明した。対立は三つどもえの構図となったが、警察庁は「神戸山口組の内紛」との見方を示しており、構成員数は不明。

 山口組と神戸山口組が分裂してから約2年間で、双方の衝突は約100件発生。神戸山口組と任侠山口組の間でも2件の傷害事件などがあったほか、17年9月12日には、神戸市長田区にある、任侠山���組・織田絆誠代表の自宅付近で、代表らが乗った車を神戸山口組の組員が襲撃。降りてきた任侠側の組員を射殺する事件が起きた。

 兵庫県警は17年5月、全部署から構成する「歓楽街緊急対策本部」を設け、その実働部隊として歓楽街特別暴力団対策隊(特暴隊)を発足させた。「みかじめ料」名目で飲食店などから金を脅し取っていたとして組員を逮捕するなど資金源の遮断にも乗り出している。

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