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山口組分裂騒動

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兵庫県警察本部=神戸市中央区
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兵庫県警察本部=神戸市中央区

 兵庫県西宮市で昨年3月、運送会社の社員寮に銃弾が撃ち込まれた事件で、県警暴力団対策課と西宮署などは9日までに、銃刀法違反(発射)と建造物損壊の疑いで、特定抗争指定暴力団山口組系組員の男(52)=大阪市東淀川区=ら4人を逮捕、送検した。

 ほかに逮捕されたのは同区の無職男(52)、同区の自動車販売仲介業の男(40)、兵庫県丹波篠山市の飲食業の男(41)。県警は4人の認否を明らかにしていない。

 神戸地検は同日、組員の男と無職男を同法違反(発射、加重所持)と建造物損壊の罪で起訴し、残る2人を処分保留とした。

 起訴状などによると、2人は共謀して昨年3月3日午前2時ごろ、西宮市内の路上で回転弾倉式の拳銃1丁と実包を所持。運送会社の社員寮に向けて4発発射し、1階シャッターを損壊したとされる。

 捜査関係者によると、現場では一部焦げた新聞紙が詰められた空き瓶も見つかったという。

 県警によると、社員寮は10年ほど前まで、現在の特定抗争指定暴力団神戸山口組の傘下組織が事務所として使っていた。県警は山口組の分裂抗争との関連も視野に、事件の背景や役割分担について捜査を続けるという。

2022/2/9
 

【山口組の分裂】

 2015年8月27日、全国最大規模の指定暴力団山口組(総本部・神戸市灘区)から、直系13団体が離脱し、「神戸山口組」を結成した。「山健組」(神戸市中央区)の井上邦雄組長がトップに就き、淡路市にある直系団体「俠友会」事務所を本拠地とした。

 分裂の背景には、篠田建市(通称・司忍)組長の出身母体「弘道会」(名古屋市)を優遇する組織運営や、高額な上納金制度などへの反発があったとされる。

 双方の衝突が相次ぎ、警察庁は16年3月に「対立抗争状態」と認定。兵庫県公安委員会は同年4月に神戸山口組を暴力団対策法に基づく「指定暴力団」とした。同年末の構成員数は山口組約5200人、神戸山口組約2600人だった。

 一方、神戸山口組では17年4月に一部組長らが離脱して「任俠団体山口組」(後に「任侠山口組」に改称)の結成を表明した。対立は三つどもえの構図となったが、警察庁は「神戸山口組の内紛」との見方を示しており、構成員数は不明。

 山口組と神戸山口組が分裂してから約2年間で、双方の衝突は約100件発生。神戸山口組と任侠山口組の間でも2件の傷害事件などがあったほか、17年9月12日には、神戸市長田区にある、任侠山口組・織田絆誠代表の自宅付近で、代表らが乗った車を神戸山口組の組員が襲撃。降りてきた任侠側の組員を射殺する事件が起きた。

 兵庫県警は17年5月、全部署から構成する「歓楽街緊急対策本部」を設け、その実働部隊として歓楽街特別暴力団対策隊(特暴隊)を発足させた。「みかじめ料」名目で飲食店などから金を脅し取っていたとして組員を逮捕するなど資金源の遮断にも乗り出している。

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