甲南大学法学部で「えん罪救済ボランティア」の活動をしている学生12人が昨年11月下旬、甲南高校3年生15人に向け、冤罪(えんざい)をテーマにした授業を行った。初めての試みで最初は互いに緊張していたが、授業では生徒たちが積極的に意見を発表してくれ、参加した私にとっても貴重な経験となった。
普段の活動では約90人が冤罪事件について学び、情報を発信している。今回の授業は高校から依頼があり、男性が子を虐待死させたと疑われる事件を取り上げることに。私たちは約1カ月間、判決文を熟読し、検察側と弁護側に分かれて主張をまとめるなど、多くの準備に追われた。
授業は3グループに分かれて進行し、学生はそれぞれの主張を発表。医学証拠が鍵となる事件だったが、分かりやすく伝えるのは難しく、生徒からは「難しすぎる」との声も上がった。
一方、「疑わしきは被告人の利益に」という刑事裁判の原則を踏まえ、「迷うから無罪」という意見も。最終的に2班が無罪、1班が有罪という結論を出した。反省点も多々あったが、実りの多い経験だった。
(甲南大学法学部2年・荒木日和)