スマートフォンやパソコンで聞ける無料の音声コンテンツ、ポッドキャスト。その中で優秀な番組に送られる「ＪＡＰＡＮ　ＰＯＤＣＡＳＴ　ＡＷＡＲＤＳ」のベストメディアクリエイティブ賞にノミネートされた作品に、ひときわ異彩を放つ番組がある。

　神戸市出身の男性漫才コンビ、マユリカがパーソナリティーを務める「マユリカのうなげろりん！！」だ。ラジオ関西で毎週土曜日午後１１時ごろに配信。２人が番組内で提案したビキニ写真集を実現させたことでも話題になった。

　芸人ラジオの新しい形を生み続けるのが、プロデューサーの神吉（かんき）将也さん（３０）。大きい局の番組が並ぶ中、比較的小規模なラジオ関西が対等に渡り合えるのは、地上波にはないポッドキャストならではの特長が関係しているのではないかと推測する。「放送エリアの縛りがなく、全国規模の局と同じ土俵で戦うことができる。その分、目立たないと埋もれてしまう。知ってもらえるよう、番組制作には時間を惜しまない」という。

　高校時代、現在もＴＢＳラジオで放送中の「おぎやはぎのメガネびいき」を聞いたことが芸人ラジオとの出合い。当時から実感するのは「ラジオはコンビ仲がいい方が面白いし、リスナーも求めている」ということだ。番組の企画段階で劇場に足を運び、トークや仲の良さを考慮してパーソナリティーを選ぶという。

　自身が０から１を生み出す能力に秀でているわけではない、と神吉さん。一方、みんなの願いを実現へ向けて調整する力が自分の強みと分析する。「小さな局の番組でも、やる意味がある」と芸人さんに感じてほしいと思いながら番組を制作するという。

　当面の目標はポッドキャスト番組のランキング１位になること。「ラジオ関西を知ってもらうのはもちろん、芸人さんが名刺代わりに番組を紹介できるように」と意気込む。

（関西学院大学商学部２年・武田裕貴）